Interview : Tomoyuki Mizuno / autosport web

──お話を聞いて、シーズン11のイメージが徐々に湧いてきました。ちなみにですが、ニッサンのEV技術は、GEN3エボのマシンにはどのように活かされているのでしょうか。

「それは言えない部分ですね(笑)。ニッサンがどんなことをしているのかが分かってしまうので。ただ、どういった言い方がいいのかわかりませんが、EVの基礎研究分野など、量産車開発で積み重ねてきた経験が活きているのか、という質問に関しては『イエス』と言えます」

「ただ、量産車の部品をフォーミュラEのマシンにポンと付けましたということではありません。モータースポーツとして性能に特化した開発をしていくなかでも、『やっぱり物作りの本質が変わらないな』ということを実感しています」

──最後に、シーズン10の反省を含めつつ、シーズン11へ向けた抱負をお聞かせください。

「シーズン11はポイントランキングでぶっちぎりのトップを走って、(PU供給している)カスタマーチームのマクラーレンも一緒に表彰台に乗るというかたちを期待しています。ドライバーのふたり(オリバー・ローランドとノルマン・ナト)も、『クルマの感触はすごくいいよ』と言っていますし、我々がかなり進化しているのは間違いありません」

「GEN3ではジャガーやポルシェに対してエネルギー効率で負けているなというのはバッテリー残量を見て思いましたし、イタリア(ミサノ)では失格の繰上げで1位にはなりましたが、やっぱりエネルギー面でビハインドを背負っている分で勝てていませんでした。GEN3エボでは勢力図もリセットされると思うので、少なくともそういうシーンは見たくないなと思っています」

 いよいよ始まるフォーミュラEのシーズン11。ピットでのチャージなど新しい要素が入り、マシンも四駆化されて、どのようなレースになるのか。5月に迎える2度目の東京大会がどのようになるのかも含めて、新しいシーズンの開幕が注目される。

Profile:西川直志(にしかわただし)
2004年に日産自動車へ入社。『スカイライン』『フェアレディZ』『リーフ』など、市販車のドライブトレイン開発を担当。2021年からはニッサン・フォーミュラEプロジェクトに参画し、現在はチーフ・パワートレイン・エンジニアを務める。プロジェクト全体を管轄しており、エンジニア業務のみならずマネジメント領域にも携わる。

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