「ここは抜くっていうのはイチかバチかで、(仕掛けたときに)相手がスペースを空けてくれるっていうのが前提ですからね。かぶせられたらぶつかっちゃうわけです。だから抜くっていうのは基本的に無理だし、あとは前が自滅するのを待つしかありませんから」
土曜午後のレース2は、スタート加速は悪くなかったものの行き場を失ってマルケロフにポジションを奪われた。その後は抜けないモナコだけにレース全体が膠着状態に入り、1位ニック・デ・フリースだけが独走で2位ジョニー・チェコット以下は数珠つなぎの状態。その中で前との間隔を空けてアタックしファステストラップの2ポイントを狙いにもいったが、上手くいかなかった。
「本当に抜けないんで、一旦前をあけてからアタックしてファステストラップを狙いましたけど、それも上手くいかなくて。まぁモナコなんでしょうがないですね。ちょっとアンダーステアもあったし、ペース的には前と変らないくらいの普通の速さで、最後はタイヤがタレてきてちょっとキツかったですね」
それでも松下はあの状況の中であれ以上を望むことが難しかったことを理解し、無理なレースをしなかった。ある意味では、派手さのない“普通の”レース週末だった。
しかし、去年はそんなときに背伸びをしてしまい、そのせいで躓いたり転んだりしていた。今年の松下にはそんな無謀なところはもうない。