周回遅れを取り戻しての優勝を果たしたことからも明らかなように、パワーは今やとても成熟したドライバーとなっている。荒々しさもあった若い時代には成熟を求められ続けたが、ベテランと呼ばれる年齢になった今は、ほとばしるような攻撃的ドライビングスタイルを懐かしがられている。
実際、丸くなり過ぎて勝つことができなくなるドライバーもいる。しかし、パワーは持ち前の切れ味を失っていない。ポコノでの走りでそれは改めて証明された。

昨年、パワーはチームメイトのパジェノーとの戦いに敗れて4回目のランキング2位となった。二度目のタイトルが何としても欲しいところだろう。しかし、残る3レースは決して彼が楽観のできるラインアップとはなっていない。
次戦は、2003年以来となる復活開催のゲートウェイ(全長1.25マイルのオーバル)。今年行われたショートオーバルでの2戦を振り返ると、パワーはフェニックスで予選2位/決勝2位、アイオワで予選1位/決勝4位とまずまずの結果を残しているものの、フェニックスでは現在ランキング3番手につけているパジェノーが勝ち、アイオワでは同4番手のカストロネベスがウイナーとライバル勢に分がある印象だ。
あとの2戦はロードコース。第16戦ワトキンス・グレン、昨年のパワーは予選こそ2位だったが、他車との接触でリタイア。最終戦ソノマは予選は4位と悪くなかったが、決勝はギヤボックストラブルで20位に沈んだ。
ソノマは5回もPPを獲得しているコースで、優勝も3回記録している点で期待が持てるが、昨年のウイナーはパジェノーで、2014、2015年はディクソンが優勝と、パワーよりポイントで上位にいる面々が好成績を残してきている。

ただし、最終戦はダブルポイントなので、その前の2戦の成績にもよるが、多くのドライバーたちが逆転可能な状況で最後のレースを迎えることになるだろう。果たしてパワーは何点の差まで詰め寄って最終戦を迎え、何番グリッドから決勝のスタートを切ることになるだろう。二度目のタイトル獲得となれば、チャンピオン獲得回数でもワイルドな走りで人気だったトレイシーを上回ることとなるが……。
