そんななか、スパタロのチームメイトでスタートドライバーを務めたルノーのレデスマ、そして3番グリッド、フィネンチの僚友ファン-アンヘル・ロッソの2台だけがレインタイヤでのスタートを選択。さらにフォーメーションラップでは、マティアス-ムニョス・マルケージのプジョー・408もピットに飛び込みレインに履き替えるなど、各陣営ともタイヤ選択に頭を悩ませる。

 スタートから間もない4周目、その高速右コーナー”サロット”で足元をすくわれ、最初にウォールの餌食となったのはトヨタ・カローラをドライブするノルベルト・フォンタナ。

 ダメージを負ったマシンを修復するため、スローペースでピットへと戻ったフォンタナだったが、このアクシデントによりレース4周目にして早くもセーフティカー(SC)が出動する事態となる。

英雄ロペスと組んだマティアス・ロッシは「ペチートから数多くを学べた」とリザルト以外の成果を強調

 1周後に再開されたレースだが、ここからさらに雨脚が強まり、フロントロウスタートでシーズンではタイトル争いを展開するウェルナーのマシンが、マリアーノ・アルトゥラのドライブ中にパンクからスピンを喫しクラッシュ。これでリタイアに追い込まれてしまう。

 6周目にはさらにフォードのマシンがスピンオフし再度のSC出動。しかし再開後のラップ9に今度はブラジルの帝王カカ・ブエノがスピンオフし、間髪入れずに3度目のSCと、レースは大荒れの様相を呈していく。

 このあと11周のレース再開までに上位陣は続々とピットになだれ込み、レインへとスイッチ。ギャンブルでスタートした2台の選択が正しかったことが証明されることとなった。

今季はプライベーターながら常にトップ5に絡む速さを見せるダミアン・フィネンチは5位

 14周目にドライバーチェンジのためのピットウインドウがオープンになると、各車が続々とレギュラーのエースに交代。この間、トヨタ・カローラの1台が再度スピンオフしたことで、この日4度目のSC導入となり、この作業が長期間にわたって行われたため、レース再開時には残り時間が6分というラスト・スプリントの展開に突入。

 また小雨がトラックに落ちてくるなか、トップ集団は先頭のプライベーター・フォード、Escuería Fela by RAMレーシングのセバスチャン・ペルーソ(ファン-アンヘル・ロッソ組)を、ルノー・フルーエンスGTのスパタロが追う展開となり、ファイナルラップ突入のコントロールラインをサイド・バイ・サイドで通過。

 ここを最後のチャンスと見たスパタロがアスカリ・コーナーでペルーソのインに飛び込み、なんとかドアをこじ開けることに成功。0.470秒差でフィニッシュラインをくぐったスパタロが、最終ラップの大逆転劇を演じてみせた。

 続く3位表彰台には、シボレーYPFクルーズに乗るベルナルド・リーバーが入り、4位にファクンド・チャプル(プジョー・408)、5位にフィネンチのフォード、6位にマティアス・モッジアのシトロエンC4ラウンジと続いた。

 またレース序盤にフォンタナのコースアウトでドロップしていたポンセ・デ・レオンのカローラは、後半怒涛の追い上げを見せ8位でチェッカー。同じくトヨタでホセ-マリア・ロペスと組んだロッシは、激動のレース展開が味方せず16位に終わっている。

最後の表彰台となる3位には、シボレーYPFクルーズのベルナルド・リーバーが入った
「この勝利は想像もしていなかった」と語ったエミリアーノ・スパタロは、ランク2位に浮上

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