■将来のことよりも、今季いい結果が出せるように
──今季のマシンは共通パーツが増え、エアロによる空力が制限され、あなたが以前に参戦していた2015年までとはフィーリングも大きく違っているかと思います。今季はどんなレースになると思いますか?
PW:DTMは本当に全員のタイム差が小さいことで有名だけど、今季はその差がもっと狭まって、トップから最後尾までのタイム差がコンマ5秒程になると思う。その僅差のなかで、どうやって前の順位をつかめるようにするかは、とても難しいと思う。勝つためのベースを作るためにも、まずは予選でより前の順位を獲っておく必要があるね。たとえトップとのタイム差がわずかだとしても、中団以下のグリッドからスタートした場合、スプリントレースではオーバーテイクをするのはとても困難だからね。
──5月にホッケンハイムで行われる開幕戦でDTMに復帰しますが、残念ながらメルセデスにとってはDTM参戦のラストイヤーです。『1年限定』の活動となりますが、それについてはどう考えていますか?
PW:開幕前の今は、1年先のことまではまったく考えていないね。もしかしたらシーズン中盤から後半に入ったときに、少しずつ先のことを考えはじめるのかも知れないけど。メルセデスが長年活動してきたDTMから撤退してしまうのはとても残念だと思うけど、その思いだけで状況が変わることがないのは重々承知しているし、それを悲しむ時間があったら、より多くの好リザルトと、タイトルを獲れるような最高の1年を送れるように、チーム一丸となって今季の活動に集中して、レースを盛り上げる方がいいと考えている。
──今シーズンはイタリアのミサノで行われるレースがナイトレースになりますが、楽しみですか?
PW:今季のDTMのなかで、唯一ミサノだけは走ったことがないけど、ナイトレースはとてもクールだ。楽しみでしょうがないね! F1ではナイトレースを初めて経験し、ファンもそれを楽しみにしていてくれたのが分かったし、盛り上がるのは間違いないと思う。イタリアの夏は、昼間は気温も高く、エンジンやクーリング、ギアボックスやタイヤにもかなり負担がかかる。でも陽が落ちると少し気温も下がるので、マシンはもちろんのこと、ドライバーやクルーたちの体力を考えると、ナイトレースは理想的だと思う。外気が40℃だと、コクピットの中は約70℃になるので、ある意味ドライバーも限界ギリギリの状態になってしまうので、ナイトレースだと助かるよ(笑)。