雨上がりのレース日となった15日(日)は朝までフルウエットだったものの、その後は晴天に恵まれ、スタート時には路面もドライコンディションに変わっていた。

 音量規制という予期せぬハンデを負いながらも総合34番手/SP3Tクラス1番手(出走2台)で6時間レースのスタートを迎えたスバルだったが、レースではタイヤの偏磨耗に苦しむこととに。

 富士のシェイクダウンで表れなかったこの現象は、“ノルドシュライフェ”を走行してきたマシンのタイヤ内側だけが摩耗し、外側はまったく減らないというもの。ドライバーのバンダムは「アンダーステアがとても強かった」と振り返り、コーナーリング時に適切なグリップを得られていなかったことを窺わせた。

 日本での事前テストを担当した山内と井口からはそのような報告はなかったことから、辰己監督も驚きを隠せないながらも原因について次のように語っている。

「これまでとまったく違うインプレッションだったので驚きました。原因として思い当たったのは、ブレーキを強化するためトレッドを広げたことですね。これによって、サスペンションの上下動に影響が出て、さらにはギアボックスやAWDシステムにまで影響がおよび、いままでになかったような挙動に変わっていったと思われます」

「そうすると、カルロ(・バンダム)のコメントや起きている現象すべてに合点がいきます。予想外のタイヤのダメージは、タイヤ本体の問題ではなくクルマ側のセッティングの問題であることがはっきりしました」

 その後、アンダーステアに悩まされながらも走行を続けたスバルだが、レース中盤には今年新しく導入したトランスミッションにトラブルが発生。20周、距離にして約490kmを走ったところで無念のリタイアを喫することとなった。

 2018年型マシンに搭載されたギヤボックスは操作性の改善、ならびにシフトショックの低減を狙った設計がなされた新仕様のものだったが、辰己監督は「どうもその改善点がトラブルの原因を導いていそうです」と分析。

 また、今後のテストや本戦については、実績のある2017年型のトランスミッションが使われることを示唆するとともに、今回の予選レース出たトラブルは「どれも予想していなかったものでしたが、それが今回発見できたことが最大の収穫でした」と総括した。

 予選レースをリタイアという結果で終えたスバルは、4月20日にニュルブルクリンクで実施されるテストデーに参加予定。朝から夕方まで、長い走行枠が設けられる同テストでマシンの最終チェックを行なっていくが、ドライバーには予選レースを欠席した山内と井口が起用される予定だ。

総合34番手/SP3Tクラス1番手からスタートを切った90号車スバルWRX STI
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スバルテクニカインターナショナルの辰己英治監督
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ニュルブルクリンク24時間の予選レースに臨んだ90号車スバル
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