開幕ラウンドから車速の伸びに疑問を感じていた牧野だが、エンジンの不調は確信に変わったという。

「タイヤのデグラデーションが来る前から全部のコーナーの立ち上がりで離されていきました。なんで? っていうくらい離されるんで、あまりこういうことは言いたくないけどウイングどうこうではなくてエンジンが何か足りていないんじゃないかって……この2戦で疑問が確信に変わりました」

「セクター2の低速コーナーの立ち上がりでビックリするくらい離されましたから。旧市街を走るセクター2で離されるんで、メインストレートでDRSが使えないから余計に離されるしっていう悪循環だけでした」 

 開幕前のテストから新車のエンジンとターボ、そしてクラッチにはトラブルが続発し、バーレーンではトラブルを防ぐため出力を抑えて走っているようだった。それでもバクーではマルケロフがエンジンブローに見舞われ、福住も問題を抱えた。クラッチの問題でスタート時にストールするマシンも多数出ている。

牧野を激励する山本雅史モータースポーツ部長

 FIA F2のテクニカルディレクターを務めるディディエ・ペランは「新車だから細かなトラブルは仕方がない。しかし改善に向かっているしもうすぐ解決できるはずだ」と言うが、F1直下を標榜し高価な参戦費用を必要とするワンメイクカテゴリーでトラブルや品質のばらつきに成績を大きく左右されるなど、あってはならないことだ。

 しかしFIA F2に挑戦し成功を収めるには、技術的なノウハウだけでなくこうした政治的な面で上手く立ち回り優れた道具と環境を手に入れることも必要不可欠な要素だ。F2からF1へのステップアップに挑む日本人ドライバーたちは今、高く分厚い壁に直面している。

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