勝者の栄誉は別格!
──琢磨選手以外には誰に注目?
松浦:ウィッケンス(ロバート・ウィケンス/シュミット・ピーターソン)がいい。
村田:“ルーキー”ではないけど(笑)。
松浦:彼はフェニックスで速かった。インディ500ではツーワイドで走ることはあまりなく、どちらかというと“フェニックスの大きい版”みたいな感じなんですが、フェニックスは結構難しいオーバルなんです。
村田:しかも、「初めてだから慎重に行った」と言っていましたよ(笑)。
松浦:柔軟性があり、レースがうまい。その状況でどういう仕事をすべきかを分かっている。ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)も来たときは速かったけど、期待していることは全部やってくれた(笑)。
松田::アンドレッティ勢はまた速そう。注目はロッシ(アレキサンダー・ロッシ/アンドレッティ・オートスポート)とビーチ(ザック・ビーチ/アンドレッティ・オートスポート)。ビーチは、ムチャはしないけど行くときは行く。
村田:前戦でつかんだと言っていました。あとはニューガーデン(ジョセフ・ニューガーデン/チーム・ペンスキー)。昨年シリーズチャンピオンになって、今年インディ500で勝ったら、アメリカン・スーパー・ヒーローですよ。
松浦:彼に勝ってもらいたいという人がいっぱいいる感じ(笑)。
──アメリカ人が勝つほうが盛り上がる。
松浦:昔は “あれっ?”というイエローが出たときもあったような……。(笑)。
村田:彼は“ニュー・スターへ”という流れに乗っていますね。
松浦:彼のパーソナリティを含めて、それを否定する人がいない。アメリカではナイスガイじゃないとダメ(笑)。
──それに、アメリカでの「インディ500勝者」の栄誉は別格ですよね?
松浦:超有名人になると思います。僕も予選トップ10くらいで、スタバで「おう、おまえ、何番手だったな」などと言われるくらい。琢磨さんは空港の入国審査で毎回3分くらい話していると思いますよ(笑)。
松田::僕も試乗会などでアメリカに行くときは、「オレはレースカー・ドライバーだ」と言って。「どんなレースだ?」「インディ500で4回走った」「ワオッ! 何という名前だ?」となって、そこから対応がガラリ(笑)。
松浦:武藤(英紀)くらいですかね、インディアナポリスで近所の日本人のおばさんに引っ越しを手伝わされたのは(笑)。「あなた、いいカラダしているわね。ちょっと手伝って」って。お礼で焼肉をごちそうになり、何日か後、インディ500ウイークがスタート。地元紙にも毎日記事が大きく載る。それを読んだそのおばさんが「大変、あなた、腰とか痛くない?」って急に気を遣い出して、ひと騒動(笑)。
松田::地元の学校を訪問したら、TV、ラジオ、新聞が取材に来ていて、そのニュースでみんな知っている。子どもたちが帰った後、教室を見せてもらったら、「ここから先はインディアナポリス・スペシャルVIPルーム 許可なく入るな」と書いてあって、入ると教室の壁伝いに「インディアナポリス・モーター・スピードウェイの歴史」という年表が書いてあった。そういうことが普通に行なわれている。
松浦:インディ500は優勝者だけ表彰される。2位は表彰なしですから。でも、一番うれしいのはメカニックさんたちかも。ボーナスが出ます。
松田::僕は賞金稼ぎだったけど、「ヒデシなら予選は通るな」と、メカさんたちからの待遇が良かった(笑)。
──今年は予選でバンプアウトもありそうですが、決勝に残れないと……。
松田::落ち込み方がひどい(笑)。
──今年はさらに見どころ満載という感じですが、それを受けて、GAORA SPORTSもインディ500関連の番組を大量投入します。
村田:琢磨選手の特番、予選、カーブデイ、そして決勝。今年はたっぷり。細かいことは分からなくても、あの空気感を共有してほしいですね。お祭りムードの。オープニングセレモニーが段違いに長い。「すぐ走ればいいじゃん」と思うかもしれませんが、あれで盛り上がってくるんですよね。
松浦:現地テレビ局も歴史から何から非常に力を入れて映像を作っている。
村田:アメリカのモータースポーツの、というより、アメリカのイベント。僕たちもカーブデイから局入りして、万全の態勢でお届けしていきます。
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