「アウトラップのプッシュが足りなくてタイヤにしっかり熱が入れられていないのかもしれないとチームは『もっとプッシュしろ』って言うんですけど、僕も(僚友マキシミリアン・)ギュンターもこれ以上ないくらいプッシュしてますからね。何が悪いのか全く分かりませんけど、チームのタイヤの使い方が根本的に何か間違っていると僕は思っています」

 レースペースはやや持ち直したものの、1周目のターン4でコースオフしてしまったこともあり17番グリッドから入賞圏内まで追い上げるには充分ではなかった。

「前がいなくなって11位になったというだけです。ペースは悪くなかったかもしれないですけど、結果は結果だから僕は全然満足できていないし、気持ちは晴れていないです。もし1周目に飛び出していなければ(レース2の上位グリッドとなる)トップ8に入っていたかもしれませんけど、トライした結果飛び出したので僕は全く後悔はしていません」

 そしてレース2では牧野とクラッシュしてリタイア。福住にとってはGP3初年度で初表彰台、昨年は優勝した相性の良いバルセロナだったが、今年は散々なレース週末となってしまった。

2018年 FIA F2 第3戦スペイン 福住仁嶺

 しかし問題はそれ以前にチームとの信頼関係が構築できていないことだ。昨年まで下位に低迷していたアーデンは今季新たなエンジニアをカーリンから獲得して臨んでいるとはいえ、福住の担当は従来からアーデンにいるエンジニア。

 福住本人が語っているとおり開幕前のテストから今に至るまでずっとタイヤの扱いやドライビングに関しても相互理解や価値観の共有ができておらず、不振の理由をお互いになすりつけ合っている状態だ。これでは不振の真の理由を究明することはできず、今後に向けて何らかの手を打たなければ泥沼は深まるばかりだろう。

 一歩前進でき課題が明確になった牧野と、一歩後退し泥沼にはまった福住。次はモナコという特殊なサーキットに2人とも初挑戦することになるだけに、2人ともにここで一度立ち止まってしっかりとした次の一歩を見つめ直さなければならないだろう。

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