悔やまれるのは、同じオプションタイヤ(スーパーソフト)スタートの戦略で牧野とターン1を争ったゲラエルとメリが表彰台に立ったことだ。タイヤ交換直後の12周目にセーフティカーが入ったことでピットロスが帳消しになったためだが、普通にレースを進めていれば牧野にも表彰台のチャンスは充分にあったことになる。
「そう考えると悔しいですね。僕もオプションスタートで(ターン1では)目の前にメリがいて横にゲラエルがいたわけですから。接触の影響でステアリングはずっと右に傾いていたし左コーナーはすごくアンダーステアでしたけど、走りにくかった割にはクリーンエアで走っている時のプライムのペースは悪くなかったので残念です」
最後は3周ほど前から異音がしていたといいエンジントラブルでストップし、土曜のレース2は後方スタートとなってしまった。
レース2のスタートでは各車に頻発しているクラッチトラブルに見舞われてストールし、後方からニック・デ・フリースが追突。左側ディフューザーに大きなダメージを受け、牧野のモナコは満足に戦えないまま終わってしまった。
「バルセロナから上手くいっている同じやり方でクラッチパドルを操作してスロットルも全開で繋いでいるのにストールしたんで、どうしてこんなことになったのか意味が分かりません」
「とりあえずリスタートはしたんですけど、フロアも壊れていて後ろのダウンフォースがなくてフラフラでトンネルの中の右コーナーさえも危ない状態でしたから、危ないんで辞めました」
一方、福住はバルセロナで経験したフィーリングが良いのに遅いという原因不明のスピード不足が解決できないでいた。
「乗っている感じではとても良いフィーリングで攻められているんですけど、タイムを見たら『あれ?』っていう感じで。1分19秒5くらい出てそうなフィーリングだったんですけど、どうなっているのか全く分からないです、1秒も遅いとかワケが分からないんです」
問題は、チームが依然として原因を特定できていないということだ。2台で同じセットアップにしてもマキシミリアン・ギュンターはオーバーステア、福住はアンダーステアと真逆の仕上がりになってしまっていて、チームのエンジニアリング能力に問題がないのなら車体に問題があると推察せざるを得ない状況だ。
実際に今回のレース前にアルテム・マルケロフはモノコック交換を行ない過去2戦で見舞われていた原因不明の遅さを解消しており、今季から導入されたばかりの新車だけにこうした問題も疑われる。