ポール・リカール・サーキットではFIA-F3の車両でテスト経験があり、EFOの車両ではウインター・シリーズでのレース経験もある名取。26日の練習走行では総合8番手のタイムを記録し、カーリンからはチームメイト3人を先頭に立って引っ張る存在と位置付けられた。
「チームのデータ不足とこのクルマでの自分の経験が少ないこともあり、まだ学んでいる最中とはいえドライビングはすごく楽しい」と名取は笑顔を見せていた。
27日の決勝レース1に向けた予選1回目は佐藤に次ぐ5番手。「チーム内では自分主導でクルマのセットアップを開発して、昨日より良い状態で予選を迎えられた。でも、テオ・マルティンとモトパークが頭ひとつ抜けている。決勝へ向けてさらなる改善が必要です。予選中は無線のトラブルでコース状況、ほかの選手のタイヤの使い方やラップタイムを把握できず、自分としてはベストな予選でもなかった。ただし、チームメイトをコンマ4秒引き離しているので悪くはない」と名取は振り返った。
同日の決勝レース1ではスタートで出遅れて大きく後退。それでも中位集団で抜きつ抜かれつの激しいバトルを繰り広げ、バックストレートのシケインでは2台抜きの大技も決めた。レース終盤には佐藤の背後まで迫る速さも見せて6位。
「スタートはホイールスピンが多くてほかのクルマに抜かれて、ポジションを9、10番手まで落とした。コーナー重視のマシン・セッティングが裏目に出て、スリップストリームを使われてどんどん抜かれた。ただ、セーフティーカー明けにはチームから良いレースペースと伝えられた。シケインでの2台抜きなどはうまい判断ができたと思う」と名取は状況を説明した。
28日の決勝レース2に向けた予選2回目は9番手。「常に3、4番手くらいに居ながら最後のアタックに合わせていった。ところがレコードライン上を走るクルマに遭遇してタイムを伸ばせなかった。それがなければ5、6番手は行けたと思う。最後のアタックでは場所取りも良く、スリップストリームも使えてこれは行けるという感じだっただけに残念です」と肩を落とした。
同日の決勝レース2では一時10番手へ後退するものの、最後は8位でチェッカー。「昨日より良いスタートがきれた。でも、1周目に先行するクルマ同士がぶつかってパーツが僕のクルマのウイングに当たってダメージを負った。それで思うようにペースが上げられず、苦しいレースになった。この土曜日、日曜日、チームの中では良いポジションに居たけれど、ほかのチームにはまだまだ及ばない。ひとつひとつチームと分析して、何が自分たちに足りないのかを探りたい」と名取は週末を振り返った。