「ピレリタイヤは予選で1周か2周くらいしか(グリップの)ピークがないので、日本で走っていたときのタイヤよりも全然、ウォームアップが難しいですね。日本の時はある程度、簡単にウォームアップできて100パーセント、タイヤのパフォーマンスが出て何周かアタックできたのですが、ピレリタイヤはウォームアップからドライバーしっかり荷重を入力していかないと100パーセントのパフォーマンスを引き出せなくて、それが1周しかもたない。それなのにレースではピークからのグリップの落ち幅が大きいので、しっかりとマネジメントしなければいけないのが日本の時と大きく違います」と、その詳細を話す。
「この最終戦、やはりレース1で勝ちたいですね。このコースはF3のマシンではみんな初めて走ることになるので、練習走行からのビルドアップが重要になってくるのかなと思います。どれだけ内容の濃い練習走行ができるかで予選順位も変わってくると思います。予選に向けて、自分のドライビングの詰め方、どれだけ自分の100パーセントのパフォーマンスに近づけるのかというのが重要だと思います」と角田。F3では今、一番勢いがある存在だけに、今週末の最終戦のパフォーマンスが楽しみだ。
また、角田と同等、または角田以上にこの終盤戦にかけてパフォーマンスを上げてきてるのが名取だ。今季、F3と同時参戦している1週間前のユーロフォーミュラの第8大会バルセロナのレース2で見事初優勝。F3でも前々回のスパで初入賞を果たして、シーズン終盤にかけて本来の速さを発揮し始めている。
「今年は開幕戦、出だしから遅れてリザルト的には良くなかったんですけど、後半になるにつれて上り調子になってきて、ユーロフォーミュラでも先週のバルセロナで勝つことができて、自分のなかでも手応えを感じてきています」と名取。
「F3でも前回のモンツァでは練習走行で5番手、予選で6番手とスピード的には優勝できるレベルに来ていると思うので、後はレースで自分の駆け引き、組み立ての面がまだまだなので、そこをうまくできれば優勝はできると自分では思っています。このロシアがF3で今年最後になるので、今年の集大成として優勝だけを目指して行きたいですね。」と、ロシア大会への期待を話す。
名取も角田同様、ピレリタイヤの特性に悩み、そして理解を深めて対応してきた。
「中盤以降良くなってきた一番の理由は、やはりタイヤマネジメントですね。このピレリタイヤがすごくクセのある特性なので、本当に予選で1周でタイムを出すドライビングスタイルと、レースでロングランでグリップを保たせるドライビングスタイルがまったく異なるので、そこを今年1年、すごく勉強しました」と名取。
「まだ来年のことはわからないですけど、少しでもF1に近づけるように世界で戦えるレースが出来ればと思っています」と名取が話すように、松下、角田も今季の成績はそのまま2020年の活動にもダイレクトに関係してくる。スーパーライセンスを獲得できればもちろん、悲願のF1へのステップアップの可能性が見えてくる。今シーズンのどの大会よりも結果が重要になる今週末のロシア大会、彼らの運命はどのように展開していくのか、しっかりと見届けたい。

