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海外レース他 ニュース

投稿日: 2020.09.08 12:37
更新日: 2020.09.09 14:00

かつてのチームメイト同士で明暗分かれたアロンソと佐藤琢磨/スペイン人ライターのモータースポーツ便り

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海外レース他 | かつてのチームメイト同士で明暗分かれたアロンソと佐藤琢磨/スペイン人ライターのモータースポーツ便り

 これまでのところ、パロウは今年最高のルーキーのひとりだ。もちろん、今年のような変わった年にパロウのパフォーマンスを適切に判断することは難しいが、彼はインディアナポリスでリタイアしたにもかかわらず、インディカーのランキングでルーキーのトップにつけているのだ。パロウはすでにロード・アメリカで3位表彰台に登壇しており、最高のドライバーたちと戦えることを示している。

2020年インディアナポリス500マイルレース:No.55 アレックス・パロウ
2020年インディアナポリス500マイルレース:No.55 アレックス・パロウ

 パロウがマシン後部のコントロールを失ってウォールに激突するまでに、今年のインディ500でまさにやっていたのは次のようなことだ。パロウは13番手からスティントをスタートし、自身の強さだけで9位まで順位を上げたことで、スキルを見せつけた。パロウは現王者のジョセフ・ニューガーデンの後ろを走行し、新たな驚きの結果を達成しようとしていたのだ。

 クラッシュしたせいでそのような偉業は不可能となり、121周を走行したところでパロウのインディアナポリス初参戦は終わった。トップ集団では優勝経験のある3人のドライバーがしのぎを削っていた。それはスコット・ディクソン、アレクサンダー・ロッシ、佐藤琢磨の3人だ。不思議なものだが、ひとりは1度だけ優勝経験があるが、インディアナポリスでは悪運に見舞われる伝説のドライバーであり、もうひとりはF1を放出された後、デビュー戦で優勝したドライバーだ。最後に、佐藤はふたたびワイルドカードとなった。

 困難な状況で常にパワーを発揮する、真のインディアナポリスのスペシャリストだ。“攻撃しなければチャンスはない”だが私は異なるタイプのドライバーを見たのだ。佐藤琢磨は、全力で勝利を争う非常にアグレッシブなドライバーであると評判だ。今回、私は勝者の自信を見た。適切なタイミングでリスクをとり、チャンスを最大限に活かしていた。インディ500で優勝するには、トラックの内外での選択が重要だ。

 最終的に、2020年のインディ500では佐藤琢磨が素晴らしい勝利を収めた。アロンソがデビューを飾った2017年に優勝したのも彼である。彼らは当時チームメイトだったが、どちらもチームを変えている。偶然にもアロンソは、3年前に佐藤の伝説的なインディ優勝を支えた『ルオフ』のスポンサードを受けている。ホンダによる日本のパワーはふたたび正しい選択となった。

 アロンソは代わりにシボレーと組んだが、今では来年のF1復帰を発表している。一方では、パロウという名の若きスペイン人ドライバーが、アロンソがやるべきだったかもしれないことをやろうとしている。それはホンダからのフルシーズン参戦だ。パロウはその目でレースを見つめている。なぜなら彼は選ばれし者になりたいからだ。新旧のスペインの獅子たちは、彼らのメンターで元ドライバーのエイドリアン・カンポスを通して繋がりがあるが、彼らは非常に異なっている。

 私は、若い獅子がインディアナポリスのトロフィー獲得に挑戦できると考えている。一方、勝利を掴んだ佐藤琢磨は、実力があれば43歳という年齢でも優勝できるのだということを示して見せた。このことは真剣に受け止める必要がある。インディカーは複雑なシリーズであり、もし若くなければ、経験を活用する必要がある。そして私は2017年から2020年までに、時代が何度も好転したと感じている。

2020年インディアナポリス500マイルレースで優勝した佐藤琢磨
2020年インディアナポリス500マイルレースで優勝した佐藤琢磨


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