その代表格として、シリーズでリンク&コー03 TCRを走らせるCyan Racing(シアン・レーシング)CEOのフレデリック・ヴァーレンは「2021年に先駆け、いくつかの新型TCRモデルが開発されたことを嬉しく思うが、正直に言ってヒュンダイのBoPには驚いている」と述べた。
「総体的にWSCグループのTCR規約は合理的に見えるBoPを採用しており、このWTCRでも継続的にハイレベルな競争の場が確保されてきた。とはいえ、新型エラントラのBoPには率直に驚いたよ。セダンボディで明らかにi30より優れた運動性能と空力を有しながら、従来よりはるかに有利なBoPを受け取ったんだからね」と続けたヴァーレンCEO。
「この適用数値は、エラントラの出発点に過ぎないことを願っている。新型車が最初にレースを戦うTCRヨーロッパ開幕戦後に各数値が詳細に評価され、WTCR開幕前に再調整されることも期待している」
そのTCRヨーロッパ開幕戦のスロバキアリンクでは、リバースグリッドのレース2でSebastién Loeb Racing(セバスチャン・ローブ・レーシング/SLR)の王者メディ・べナーニが早くも勝利を飾っているが、約2週間が経過した現時点ではBoPレベルに関する話題は出てきていない。
一方、今季からWTCRで新型アウディを走らせるComtoyou Racing(コムトゥユー・レーシング)からも懸念の声が挙がっている。
「我々の2代目アウディRS3 LMSが、新型のヒュンダイより40kg多いバラストを受け取り、WTCRでこれより重いのはリンク&コーだけ……という状況は驚くべきことだね」と語るチームマネージャーのジャン-ミシェル・ベアト。
「パフォーマンス調整の計算は、各車の可能性を評価するいくつかの数値や性能に基づいていることを念頭に置けば、アウディが受け取ったBoPを説明するために、彼らは新型RS3 LMSで素晴らしい開発作業を行ったに違いないね」と皮肉を込めたベアト。
「つまり、現時点で我々のマシンは将来に向けて有望だと結論付ける必要があり、最初のレースを楽しみにしている」