更新日: 2023.05.24 11:18
横浜ゴム 2023ニュルブルクリンク24時間 レースレポート
【第51回ニュルブルクリンク24時間レース/ニュルブルクリンク(ドイツ)】
オールドライで競われたニュル24時間、SP9の『ADVAN』カラー車は悔しい結果に
5月20日から21日にかけて決勝が行われた2023年のニュルブルクリンク24時間レース、近年は“ニュルウェザー”とも称される天候に翻弄されて決勝中に豪雨や濃霧による中断をはさむことも多かったが、今年は終始ドライコンディションで競われた。
ヨコハマタイヤを装着して過酷な24時間レース、さらにNLS(ニュルブルクリンク耐久シリーズ)に挑戦を続けているのがヴァルケンホルスト・モータースポーツ。
24時間レースには3台のBMW・M4 GT3を擁して参戦、101号車(クリスチャン・クログネス選手/ヤコブ・ギエルマジアック選手/イエッセ・クローン選手/アンディ・ソウセック選手)と102号車(トーマス・ノイバウワー選手/イェンス・クリングマン選手/ジェイク・デニス選手/クリスチャン・クログネス選手)はSP9 Proクラスに『ADVAN(アドバン)』カラーをまとうマシンで参戦する。
また、SP9 Pro-Amクラスには100号車(ヘンリー・ヴァルケンホルスト選手/ヨルグ・ブリューワー選手/クリスチャン・ボルラート選手/サミ-マティ・トロゲン選手)がエントリー、24 時間先で待つチェッカーを目指した。
独特の予選方式を採用するニュルブルクリンク24時間だが、19日(金)に行われたトップ予選には3台揃って進出を果たす。
しかしトップ予選の1回目、102号車はクログネス選手のドライブでポールポジション獲得に向けてアタックを行ったが、他車がコース上に大量に出したダストに乗ってしまい、激しいクラッシュを喫してしまった。
クログネス選手に怪我が無かったのは不幸中の幸いだったが、マシンは左側面に大きなダメージを受けてしまい、その様子を見た多くの人々が決勝への出走は難しいという印象を受けたことだろう。
しかしチームは一丸となって修復作業にあたり、夜を徹した努力が実を結んで土曜日の午前4時には精悍な『ADVAN』カラーがピットへ戻ってきた。
その後、車検にも合格して無事に3台揃って24時間レースのスターティンググリッドにつくことが叶った。
現地時間の20日(土)、16時に長く過酷な24時間レースがスタート。23万5千人という大観衆が見守る中、『ADVAN』カラーの2台は後方グリッドからのスタートであったが着実にポジションを上げていった。
しかし、日が暮れて闇が支配するようになった22時前、ソウセック選手がドライブする101号車はプランツガルテン付近でアマチュアチームのマシンを追い越す際に接触してしまい、右フロントのサスペンションを破損してしまった。
130台あまりが参戦した大会はドライバーのスキルも様々だが、安定しないライン取りのマシンと接触してしまう不運に襲われてしまったのだ。
101号車はスローペースでピットへ戻り、約20分のタイムロスで修復を果たして戦列へ復帰した。しかしダメージは小さくなかったか、復帰してまもなくコースオフを喫してマシンをストップ、無念のリタイアとなった。
トップ予選のクラッシュから、奇跡とも言える復活を果たした102号車は、ナイトセッションで堅実な走りを披露。日付が変わるころには総合7番手にまでポジションを上げて更なる追い上げに期待が高まる。
そして夜明けを迎えたニュルブルクリンク、雨は降ることがなかったものの明るくなるとともに霧がアイフェルの森を包んでいった。
そんななか、102号車にまさかのトラブルが。ノイバウワー選手がドライブするスティントだったが、他車をパスする際に縁石に乗り上げてコース外を走ってしまった。その際にマシンの下回りをヒットしてしまい、エンジンを破損。コースサイドにマシンをストップ、101号車に続いて102号車もアンラッキーな展開で戦いを終えてしまった。
孤軍奮闘状態となったSP9 Pro-Amの100号車は、無念のリタイアを喫したチームメイトたちのためにも、執念の走りで周回を重ねていく。小さなアクシデントはあったが総力で克服し、21日(日)の16時に総合16位/SP9 Pro-Amクラスの5番手でチェッカーを受けた。
■ヘンリー・ヴァルケンホルスト選手[BMW M4 GT3(100号車)SP9 Pro-Amクラス/チーム代表]
「トップ予選で102号車がクラッシュし、なんとしても決勝レースのスターティンググリッドへ送り出すため、チームが一丸となって明け方まで掛かってマシンを修復しました」
「しかし、その尽力の甲斐なく、この102号車のみならず、101号車までもリタイアしてしまうなど、この週末は私たちが想像していた通りにはいかず、とても残念でした」
「100号車はポディウムを逃したものの、チェッカーフラッグを受ける事ができたのは、非常に喜ばしかったものの、SP9 Pro-Amクラスのもっと上のポジションを狙えたと思います」
「ヨコハマタイヤを装着した3台のBMW・M4 GT3は、数々のトラブルがあったものの、タイヤについてはレースウィークを通じて一度として故障は起きませんでした。これは私たちにとってとてもポジティブな結果であり、ヨコハマタイヤが精力的に開発を進めてくれたお陰だと思っています。ヨコハマタイヤと更に強くなって、来年もこの地へ戻ってくるつもりです」
■三好雅章[横浜ゴム タイヤ製品開発本部 MST 開発部 技術開発1グループ]
「今季はNLS(ニュルブルクリンク耐久シリーズ)の開幕3戦と予選レースも通じて、ニュルブルクリンク24時間での総合優勝を目標に入念な準備をして挑みましたが、想定通りにはいかない事をあらためて痛感しました」
「タイヤに関しては、ドライバーから良いフィードバックを受けた事が大きな収穫となりましたが、このニュルブルクリンクという地で勝つには壁が高いと感じ、今大会の結果が全てだと思い知らされました」
「しかし、特に今季のNLSでは、予選がウェットで低気温という、いままでこのニュルブルクリンクではヨコハマタイヤとしては苦手としていたコンディションの中で、パフォーマンスを十分に発揮し、非常に高いレベルの戦いの中で上位に食い込むなど、着実に結果に繋がりはじめていますので、良い方向に向かっている事を実感したと同時に、大きな収穫だと思います」
「ヴァルケンホルスト・モータースポーツと共に2020年のNLSではシリーズチャンピオンを獲得していますので、今季も再びそのタイトルを勝ち取るべく、残りのレースをチームと共に毎戦でしっかり成績をだせるようにしたいと思います」
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