同じく、レース序盤のターン6ではカマロZL1の車体前半部をタイヤバリアに潜り込ませながら、最終的に5位までカムバックしたブッシュも、SVGの脅威を「充分に認識し予想していた」と語った。
「明らかな成長も感じたし、これこそ彼が生涯を通じてやってきたことなんだ。彼にとって幸運なことに、キャリアを通じて軽量なIMSAのプロトタイプやダウンフォースのあるGT3なんかでなく、より大きくて重いストックカー(スーパーカー)でそれを成し遂げてきたんだ」と、かつてのデイトナ24時間ではエイム・バッサー・サリバンのチームメイトとして、ともにレクサスRC F GT3をドライブした経験も持つブッシュ。
「彼がこの種のクルマ……つまりスーパーカーで成し遂げてきたことは、おそらく我々より4〜5、いや8年は先を行っている。以前、デイトナ24時間でレクサス・プログラムのチームメイトとして彼と一緒に仕事をしたことがあるが、現地にいる間ずっと、彼はおそらくチーム最速のタイムをキープし続けていた。彼は怠け者ではない。ここ(NASCAR)に来たら、きっと人気者になるだろうと思っていたよ」
さらに前出のラーソンは、勝利を決めたオーバーテイクの瞬間を描写しつつ、自身を含めたカップシリーズの面々に対する危機感も露わにした。
「彼が僕を抜いて行った後、ショーを見ることができた。首位争い(SVGとヘイリー)は素晴らしかったね。彼はうまくターン2のインを刺したが、ジャスティンは出口でトラクションを掛け、しばらくは戦えそうだったんだ」
「でも彼(SVG)はまさに“スーパーゴール”を決めた。とんでもなくアグレッシブなレーンチェンジで右側に戻り、クロスラインの攻防から刺し返したんだ。それはもう……異常だよ(笑)。本当に素晴らしかった」とラーソン。
「だからこそ、あのような選手が入ってきて、相手の“ホームゲーム”で自分たちを蹴飛ばすことができるということは、ここにいる全員に改善の余地があることを示していると思う。彼が僕らのことをどう思っているのか気になるね。彼は明らかに僕らをたくさん追い抜いたし、彼がカップの全員を最低だと思っているのか。それとも僕らがそれほど悪くなく、実際に競争する相手だと思うのか。とても興味があるよ」
そんな元カップ王者の熱烈な賞賛に対し、即座に応じたSVGは「これがオーバルなら、まさに真逆のことが起こるはず」だと答えた。
「これが僕の生業である、ストリートサーキットだからと思う。僕の(スーパーカー)レースのほぼ半分はストリートサーキットで争われるから、壁に慣れているんだ。ただステアリングが“間違った側”にあるから(笑)、ウォールへ接近する感覚を学ぶのに少し時間を要した。左コーナーのエイペックスを逃したり、右コーナーでどこまで寄せていいかの距離感を掴むのにね」とSVG。
「もちろん、カップシリーズは精鋭揃いだ。ウエットタイヤは僕の知るモノとはまったく違ったが、彼らは即座にタイムを出した。スリックに戻したときは僕が臆病になりすぎて、みんな前に行ってしまった」
「全員が上手でパスも献身的だった。ドライバーによってはちょっと“優しすぎた”かもしれないけど、そういうこと。交差点の出口で壁の隙間を残しているクルマもあったが、僕はそこに近づくことを恐れないし、取り分もあった。でも(2回目の開催となる)来季は彼らの多くがもっと速いはずさ」