F1ドライバーたちは、インディカーでのダン・ウェルドン、MotoGPでのマルコ・シモンチェリと、モータースポーツにおいて死亡事故が続き、大きなショックを受けているが、自分たちはモータースポーツを愛しており、リスクを承知でこれからも走り続けると語った。

　フェルナンド・アロンソは、ふたりの事故から受けたショックが何日も収まらなかったとし、モータースポーツは危険なスポーツであることは分かっているが、それでもこのスポーツを愛していると語った。
「自分が走っている時には何の影響もない。ただ、週のその他の時には影響がある」とアロンソ。
「本当に悲しい日々を過ごした。家でテレビを見ていた。ダンの事故はニュースのリプレイで見て、2、3日はショックが収まらなかった」
「マルコの事故はライブ放送で見ていた。レースを見ていたんだ。日曜、月曜と信じられない思いだった。でもこういうことは起きるものなんだ。モータースポーツにとっても、僕ら皆にとってもとても悲しい日々が続いた」
「でも、バイザーを降ろし、マシンを走らせているときには、リスクのことは考えない。僕らはモーターレーシングを愛している。競争を愛している。ドライビングから得られるアドレナリンが大好きなんだ。その気持ちによってリスクを感じなくなる」
「僕らはレースを愛しているが、危険であることは承知している。320km/hで走っているときにマシンに何かが起きたら、大事故につながる危険はある。でもそのスピードで走っているときにそういうことを感情的に考えることはできない。僕らはリスクを知った上で、このスポーツを愛しているんだ」

　セバスチャン・ベッテルは、リスクは承知しており、常に何も起こらないことを祈っているが、それを100パーセント確実にするのは不可能だと語った。
「モータースポーツにとって最悪の2週間だった」とベッテル。
「韓国から戻ってから、アメリカでのダン・ウェルドンの事故について聞いた。先週、ソファに座ってテレビでMotoGPを見ていて、マルコのクラッシュを見た」
「彼とはそれほど親しくしていたわけではないが、知り合いだった。今年も会っている。ずっと待ち続けるのは本当にいやな気持ちだった。何が起きたのか答えが出るまで長く待たされるのは、普通はいい兆候ではないからね」
「僕らは皆、マシンやバイクに乗るときには、ある程度のリスクを冒している。それでもモータースポーツやスリルが好きだ。それと同時に、何も起こらないよう、いつも祈っている」
「この仕事が大好きだ。ある程度のリスクなら喜んで負う。でもあっという間に物事が変わってしまうのを目にするのはとてもショックだ。僕らは常に安全性を高めていかなければならない」
「僕らはこれからも、何も起こらないよう祈り続ける。でもそれは不可能だということも分かっている。だから今僕らにできるのは、遺族の方々を尊重し、そっとしておいてあげることだけだ。立ち直るために必要な時間を与えてあげなければ」

　ミハエル・シューマッハーは、F1の安全性は非常に高く、それでも何かが起きるとすれば、それは運命だと考えると述べた。
「走っているときには危険な状態だとは考えていない。マシンを限界までプッシュしているとき、それを僕らは快適に感じる。だから僕らは常にマシンを限界に持っていくことを目指す。それは（インドGPの）今週末も同じだ」
「人生においては何をしていても完全な安全を求めるのは不可能だと僕は思う。確かにモータースポーツではリスクはより大きいし、F1は世界のモータースポーツの中でも最も速いだろう」
「だが同時に安全性は大きく向上されてきた。たとえばこのサーキットの新たなプロジェクトを見れば、広いランオフエリアがたくさん設けられているし、安全性の基準が非常に高い。それでも何かが起こるとすれば、僕はそれは運命だと思う。僕らは誰でもいずれは運命と向き合わなければならない」
「ふたりのドライバーが命を落とした。彼らの身に起きたことに僕はとてもショックを受けている。でも残念だがそれについては『それが人生だ』としか言いようがない」