カナダ・トロントで行われたIZODインディカー・シリーズ第10戦。8日に決勝レースが行われ、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポーツ)が3連勝を飾り、シリーズランキングでもトップに立った。佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン)は、マシントラブルが出るも9位でフィニッシュした。
ストリートレースではよくあること……と言ってしまえばそれまでだが、今日のレースは前方グリッドからスタートして燃費良く走り続けて、という王道的戦い方が不利となっていた。
予選2番手からスタートしたウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は、ポールからトップを走っていたダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ)をパスすると、シーズン4勝目に向けて差を広げていった。しかし、グラハム・レイホール(チップ・ガナッシ)のクラッシュが実にタイミングの悪い24周目に発生。
この時点で1回目のピットストップを終えていなかったパワーら9名、フランキッティ、セバスチャン・ブルデー(ドラゴン・レーシング)、マイク・コンウェイ(AJ.フォイト)、エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)たちは、すでにピットを終えたドライバー達の後ろへと回ることになってしまった。
6番手スタートだったライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポーツ)は、レイホールがクラッシュする前の22周目にピットイン。結果論になるが、ここか、その次の23周目にピットするのが今日のベストタイミングだった。22周目にピットしていたもうひとりはトニー・カナーン(KVレーシング・テクノロジー)。23周目にはジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン)がピットインしていた。
トップだったパワーは13番手まで下がり、2番手を走っていたフランキッティはこの時のピットで給油装置の届かない場所にマシンを停めてしまうミスを冒して22番手まで後退した。彼らトップコンテンダーたちが後方集団に埋もれている間に、ハンター-レイはサイモン・ペジナウ(シュミット・ハミルトン)から49周目にトップを奪い、55周目に行った2回目のピットストップの後にもトップへと返り咲いて、ゴールまで突っ走った。
ゴール目前、トップ5争いをしていたニューガーデンが、ペジナウのパスに失敗してコース上にストップ。イエローフラッグが出され、残り3周でリスタートが切られたが、フロントローでリスタートを迎えるのが初めてのチャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ・レーシング)が相手だったためにハンター-レイは余裕でトップをキープ。このリスタートではターン1とターン3で多重クラッシュが発生。レースはイエローフラッグとチェッカーフラッグが同時に振られ終了となった。
優勝はハンター-レイ。ミルウォーキー、アイオワに続く3連勝だ。今シーズン序盤にはパワーが3連勝を飾っているが、今や勢いは完全にハンター-レイにある。彼は一気にポイントリーダーに躍り出た。
「チャンピオン争いに加われている。それはチーム全体が素晴らしい仕事をしているからだ。今日もマシンは最高で、ピットクルーの作業も見事だった。レース序盤は速くなかった僕らだが、後半の一番大事なところで速かった。そうした勝ち方は本当に気持ちがいい。それにしても、3連勝ができたなんて信じられない」とハンター-レイは喜んでいた。
キンボールは13番手スタートから安定感あるレースを戦っていた。1台ずつ目の前を行くマシンを着実にパスしてポジションを上げて行った。燃費に苦しむパジェノーとカナーンを2台まとめてターン3でパスして2番手へと浮上した。最後のリスタートではハンター-レイにアタックするつもりだったキンボールだが、逆に後方からポジションを脅かされた。ブルデー、コンウェイらとのバトルとなったのだ。しかし、これを何とか切り抜けて自己ベストの8位を大きく更新する2位フィニッシュで、初表彰台に上った。
「50台も出場してるんじゃないかってぐらい、今日は何台ものマシンをパスした。マシンが良かったのでパスはそんなに難しくなかった」とキンボールは語った。今年に入ってからの彼は走りが非常に安定している。着実な成長を遂げているということだ。
3位はコンウェイ。パワーらと共にレース序盤のアクシデントで後方集団に埋もれさせられながら、最後のスティントにフレッシュのレッドタイヤを投入し、グングンとポジションアップ。最後のリスタートでオリオール・セルビア(パンサー-DRR)を抜き、ブルデイがアクシデントを起こしたためにふたつ順位を上げて表彰台に上った。フォイトへ移籍してから、コンウェイが見せた最も良いレース、それがトロントだった。ようやくマシンが自分の思う通りの動きをするものとできて来た様子なので、エドモントンからも続くロードレースでの彼の走りには注目したい。
順位アップがままならない中でアクシデントを起こしたパワーは、15位フィニッシュでランキング2位へと陥落した。そればかりか、ハンター-レイとの間には34点もの差をつけてられてしまった。このところ納得のいくレースを戦えていないパワー。再び勢いを取り戻すことはできるだろうか? それとも、今年もタイトルを獲り逃すことになるのか。
シリーズランキング3位でトロント入りしたスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)は、僅か7周でホンダ・エンジンにトラブルが発生。最下位の25位となってポイント4位へとひとつ順位を下げた。彼に代わってポイント3位に浮上したのはカストロネベスだ。
佐藤琢磨は、9番手スタートで9位フィニッシュ。ブレーキトラブルでペースが上がらなかったが、辛抱強く走り続け、最後のリスタートでの混乱にもギリギリ巻き込まれずにマシンをゴールまで運んだ。
「厳しいレースとなった。スタートで順位を下げ、少し早めのピットイン。中盤を長く走る作戦になったが、燃費もきつくなり、ブレーキにトラブルが出てしまった。このコースでブレーキが効かないのはキツい。最後のリスタートは何か起こると思った。両側とも行き場がないような状態で、前でダリオとブリスコーが接触、それを避けようとブレーキングしたら後ろからアンドレッティに追突されたけれど、何とかゴールできた」と琢磨は話していた。
