1月25日・26日、F1タイヤ単独サプライヤーであるピレリがアブダビで2012年仕様のF1タイヤ発表会を大々的に行った。その会場を訪れるチャンスに恵まれたので、現場のインプレッションをお届けしよう。
会場はF1が行われるヤス・マリーナ・サーキット。そこに世界中から200名近いメディア関係者が招待された。まずはマルコ・トロンチェッティ・プロベラ社長がスピーチを行い、ピレリにとってのF1活動の意義、初年度に得た手応え、そして2012年シーズンに向けた抱負を語った。
「我々はスピードとショーを愛している。昨年はレースをエキサイティングなものとするという目標を達成し、今年はさらなる興奮をお届けしたい」
2011年はF1を面白くしたと高く評価されたピレリだけに、今年はどのようにレースを変えてくれるのか、期待が高まる。
ステージ上のベールが剥がされると、6つの2012年型F1タイヤがお目見え。まずはロゴ色の変更が目に付くが(ハードはミディアムとの区別が付きやすいよう黒っぽい色に、ウエットは緑と青に)、最大の違いは目に見えにくい部分にある。コンパウンドは昨年よりもさらに柔らかくなり、パフォーマンスは向上。さらに、プロファイル(形状)も従来よりスクエアな形に変更されて接地面形状が広くなり、ハンドリングに対する反応性が向上すると同時に、摩耗のバランスも改善されているという。昨年はドライビングスタイルの変更を余儀なくされ苦しんだドライバーたちも、“リアクティブな”タイヤになることでクルマを振り回しやすくなり、バトルはこれまで以上に面白くなりそうな予感だ。
昨年のタイヤについて「シーズンが始まる前にはアグレッシブ過ぎると非難されたのに、シーズンが終わる頃にはコンサバティブ過ぎると文句を言われるようになったくらいだ」と苦笑いするポール・ヘンベリー(モータースポーツダイレクター)は、その成功をベースに、今年は「さらにアグレッシブでレースが面白くなるタイヤ」にしたという。
「スーパーソフトはそのままに、他の3スペックを少しずつ柔らかくしてそれに近付けた。昨年1.5秒ほどあった各スペックの差は、0.8〜1秒となるよう設計したよ。昨年は(レースに持ち込む2種のうち)柔らかい方のタイヤを使うタイミングを選びやすくしすぎたが、性能と耐久性のバランスも再考して差を小さくしたから、2012年はタイヤの使い方が難しくなるはずだ」
正直なところ、関係者の間ではシーズン後半戦はタイヤ選択がコンサバティブ過ぎ(硬すぎ)て面白くなかったという見方もあるが、ヘンベリーによれば「今年はどのレースでもピットストップが3回になるように」選択するという。1年のデータ蓄積により開発面でも運用面でも大きな飛躍を遂げたというから、期待していいだろう。
