F1第19戦アブダビGPは、現地時間14日にアブダビのヤス・マリーナ・サーキットで55周の決勝レースが行われ、トップチェッカーを受けたレッドブルのセバスチャン・ベッテルが逆転で自身初、さらに史上最年少でのワールドチャンピオン(23歳と134日)の栄冠を手にいれた。また、レッドブル・レーシングはドライバーズとコンストラクターズの2冠を達成している。
2010年のチャンピオンを決する今季最終戦の決勝は、現地時間午後5時のスタート。舞台となるヤス・マリーナ・サーキットのレース直前の天候は晴れで、気温29度、路面温度は33度というコンディションとなった。
注目のスタートでは、1コーナーへのダッシュで3番グリッドのフェルナンド・アロンソが遅れ、4番手スタートのジェンソン・バトンが3番手へ順位を上げる。その他はほぼクリーンなスタートを決めたが、6コーナーでミハエル・シューマッハーが単独スピンを喫し、後方のビタントニオ・リウッツィが避けきれずにメルセデスのマシンに乗り上げるアクシデントが発生。幸いシューマッハーは無事だったが、マシンと漏れたオイルを撤去するため、セーフティカーが5周目まで隊列を先導することになった。
8番手走行のニコ・ロズベルグ、11番手のビタリー・ペトロフら6台はセーフティカー先導中の2周目にピットインして、早くもタイヤの交換義務を果たす。
6周目にレースは再開。上位はベッテル、ルイス・ハミルトン、バトン、アロンソ、マーク・ウエーバーのオーダーで続き、後方にフェリペ・マッサ、ルーベンス・バリチェロ、さらにロズベルグのピットインで順位を上げたザウバーの可夢偉が8番手を走り、前を走るバリチェロにプレッシャーをかける。
10周目を終えた段階でベッテルは2番手のハミルトンに2秒前後の差をつけ、タイトル争いのライバル、アロンソには約8秒のリードをつける。そのアロンソのすぐ後ろを走るウエーバーはなかなかペースを上げられず、後方のマッサからプレッシャーを受け続けることに。すると、ウエーバーはリヤタイヤのグリップ不足を訴えた直後の12周目に早くもピットインし、アロンソをサポートするマッサもそれを追って14周目にピットインした。
しかしフェラーリは、マッサがウエーバーを抑えることができなかったため、状況的に4番手を死守しなければならないアロンソを16周目にピットインさせ、ウエーバーの前のポジションにつける。だが、序盤のセーフティカー中に早めのピットインを行ったロズベルグとペトロフがアロンソの前に立ちはだかり、20周を過ぎる頃にはアロンソは実質6番手へと後退してしまった。
レース折り返しが近づき、2番手のハミルトンが24周目、その翌周にトップのベッテルがピットインする。これで先頭を走るのは上位勢で唯一ピットストップを行っていないバトンとなり、2番手に実質トップのベッテル。こちらもピットストップがまだのロバート・クビカが3番手で続き、優勝が絶対条件のハミルトンが4番手を走行する。ハミルトンは序盤こそベッテルに肉薄する走りを見せていたが、ピットストップ後はクビカを攻略できず徐々にベッテルから遅れていった。
実質6番手のアロンソも依然ペトロフの後方で苦しい状況が続き、フェラーリのマシンは何度となくルノーに並びかけるが、予選トップ10入りして勢いのあるペトロフがオーバーテイクを許さず、その前方にも未だピットインしていないマシンが隊列になって続いている。
40周目、ようやく先頭を走っていたバトンがピットインし、ハミルトンの後ろ4番手でレースに復帰すると、46周目に2番手クビカ、48周目には4番手を走っていたスーティルがピットイン。これで10秒近いリードをもつベッテルを先頭に、ハミルトン、バトン、ロズベルグ、クビカ、ペトロフの順となり、アロンソはタイトルが絶望的な7番手となった。
結局レースはベッテルがそのまま今季5勝目となるトップチェッカーを受け、2位ハミルトン、3位バトンでフィニッシュ。アロンソは最後までペトロフにプレッシャーをかけ続けたが、最後までオーバーテイクできずに7位でチェッカーとなった。
この結果、ベッテルが15点差を跳ね返す大逆転を果たし、初のワールドチャンピオンを獲得。ハミルトンの持っていた史上最年少チャンピオンの記録をも塗り替えた。
小林可夢偉は34周目のピットストップまでに4番手まで順位を上げたが、終盤はペースが鈍り14位でチェッカーを受けた。