フェルナンド・アロンソのパワーユニットにトラブルが発生したのは、ブラジルGPフリー走行2回目の中盤だった。1コーナーに飛び込んだあたりで白煙が上がり、チームは「ハーフスロットルで帰ってこい」と指示を出したが、ピットに帰る前にエンジンが炎を上げたため、その場で止める判断をした。

「アロンソのパワーユニットに出たトラブルは、まだ(エンジンを)開けていないのでわかりません。もし載せかえるとしたら、トラブルが出たパワーユニットは日本に送り返して解析することになるでしょう」

 ホンダの新井康久F1総責任者はトラブルの原因に関しては言及しなかった。いまホンダがやるべきことは他にあるからだ。

「現場で、できることは限られています。まずやらなくてはならないのは、アロンソのクルマを走る状態にすること」

 結局ホンダはマクラーレンと協議の上、アロンソのパワーユニットを交換する決断を下した。載せかえられたパワーユニットはメキシコGPで使用したもので、ペナルティを受けることはない。しかし新井総責任者は「ここに来てトラブルが続くのは痛い」と、ため息をついた。

 アロンソのトラブルはアメリカGPから続いている。アメリカGPのレース終盤に起きたトラブルは、ハーネス(配線)の接触不良。アロンソ自身「今シーズン、ベストの走りだった」という懸命な追い上げで入賞圏内を走行していた状況でのマイナートラブルだった。メキシコGPの1周目でリタイアに終わったトラブルは、センサーが異常を感知してフェイル・モードに入ってしまうものだったが、これは「製造品質上の問題」(新井総責任者)で、すでに解決したという。

 ホンダは以前にも頻繁にトラブルを起こしていたが、いわゆるエンジンがブローするようなトラブルは、開幕戦でアロンソの代役として出場したケビン・マグヌッセンがレコノサンスラップで見舞われたぐらい。大半のトラブルは参戦初年度の洗礼とも言える些細なものだったが、今回は久しぶりに大きな問題を抱えてしまった。それがシーズン終盤になって露わになったことが、ホンダにとって「痛い」のではないだろうか。

 しかし起きてしまったことを悔いている時間はない。幸いジェンソン・バトンは初日に予定していたプログラムを、すべてこなすことができた。

「アロンソはロングランのデータがまったくない。土曜のフリー走行でロングランをしている余裕はないと思うので、今日ジェンソンが得たデータをふたりで共有することになるでしょう」

 トラブルが起きたとき、いかに克服するか。それもレースを戦う上で重要な能力だ。あと2戦、ブラジル2日目以降のマクラーレン・ホンダに期待したい。

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