パワーユニットの年間使用基数を増やすという案は開幕直後から議題に挙がっていたが、その後いったん立ち消えになり、7月1日のストラテジーグループ会議で「新しくF1に参戦したチームに限って、1基多い使用を認める」ことを全チームが承認した。「今回の対応は2015年シーズンのホンダから適用される」とされており、事実上のホンダ救済策と言ってもいい。だが、ホンダの新井総責任者の胸中は複雑である。

「年間4基というレギュレーションを承知して参戦したわけで、我々の実力が足りていないことを露呈してしまう形となった。このことは真摯に受け止めなければならない。ただしドライバーに罪はないので、今回の決定によって観客の方々に少しでもレースを楽しんでもらえるようになったことは素直にありがたい」

 イギリスGP初日のフリー走行を終えた時点で、レギュレーションに関して新井総責任者を悩ませている問題が、もうひとつあった。それは前戦オーストリアGPで、キミ・ライコネンとの接触事故によってリタイアしたフェルナンド・アロンソのパワーユニットをめぐる解釈についてである。ライコネンのマシンに乗り上げて、タイヤウォールに突っ込んだアロンソのマシンは「く」の字に折れ曲がっていた。

「レース後、帰ってきたクルマを見たら、ちょっとこれは厳しいなという状態だった」と新井総責任者は言う。アロンソはシルバーストンで「オーストリアGPのアクシデントでエンジンとギヤボックスを失った」と明かしたが、すでにアロンソは5基のICEを使用しており、新しいICEを投入すれば初めて6基目のコンポーネントを投入することになるため、10番手降格のペナルティとなってしまう。

 金曜日のフリー走行は、すでに使用したコンポーネントと4基目のエナジーストアを組み合わせて搭載したが、もし土曜日以降に新しいICEを使うことになれば、またしてもアロンソは後方からのスタートを余儀なくされる。アロンソは今季まだノーポイント。ペナルティを受けてばかりの状況が続くようでは、元チャンピオンのレースを楽しみにしている世界中のファンの期待も台無しとなる。マクラーレンは、ペナルティなしで新しいICEを使えるようFIAと協議しているものの、結論は金曜日の夕方になっても出ていない。

 ホンダに限りパワーユニットを年間5基まで使用できるという新規定が、世界モータースポーツ評議会で最終的に承認されることを待つと同時に、マクラーレン・ホンダはイギリスGPでのFIAの決定も特別な思いで待ち続けている。

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