オートスポーツwebが3回にわたってお届けする「佐藤琢磨独占インタビュー」。2回目となる今回は、今年も琢磨の主戦場となるインディカーへの抱負を聞いた。

 昨年、日本人初となるポールポジションを獲得した佐藤琢磨は、インディカー3年目となる2012年シリーズを迎えるにあたり、これまで2シーズンを過ごしたKVレーシングを離れ、新たにレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングに加入、新体制のもとで次なる目標でもある初優勝を目指すことになった。

 今年は、大幅に変更を受けた新シャシー『DW12』の導入と、ホンダ、シボレー、ロータスによるターボエンジンウォーズの再燃など、琢磨だけでなくインディカー・シリーズ全体が大きく変貌を遂げた。こうした状況で迎える2012年のインディカーを琢磨はどう捉えているのだろうか?

Q:今年で3シーズン目になります。今年にかける期待感というのはご自身でもかなり高いんじゃないですか?
琢磨:高いですね。特に新体制で臨む3年目ということで自分自身でもすごくモチベーションがあがっていますし、ハードウエアも大きく変わります。シャシーもこれまでとまったく違うものになるし、エンジンもターボエンジンになります。エンジンメーカーも3メーカーが入ってコンペティションはさらに激しくなるだろうし、自分としても過去2シーズンでいろんなことを経験できているので、本当に開幕が待ち遠しいです。来週からテストですけれども、いよいよ新しい体制でテストして、開幕前にどれだけ準備をできるかっていう部分ですごく楽しみにしています。

Q:新シャシーには1回乗っているんですよね?
琢磨:乗っています。去年の12月のマニュファクチャラーズテストで。そのときはセブリングだけなんですけれど、これまでとはだいぶ違うクルマですね。

Q:見た目も大きく変わりましたね。
琢磨:見た目は派手になりましたよね、かなりね(笑)。ボクにとっては複数台で走ったときにどう影響するかなどまだ未知数なところはありますが、少なくとも単独走行している限りでいえば、これまでの旧型シャシーに比べれば、回頭性も上がっているし、ダウンフォースも出ていてグリップ感も上がっています。実際、セブリングの路面ってバンピーだしサラサラしているし、ファイアストンが持ってきたコンパウンドによってグリップ感が大きく異なるので、次のバーバーでのロードコースとセブリング、ここは半分市街地みたいな路面ですけれど、その2カ所でしっかり走って、このクルマからどういうポテンシャルが出るのかっていうのを見るのが楽しみですよね。

Q:ターボエンジンでのレースは初めてですよね。
琢磨:そうですね。デモ走行とかではありますけど、競技はしていないですからね。そのあたりがレースにどう影響するのかは分からないですけれど、やはりターボ特有のターボラグというのはあるので、最初は少し慣れは必要かなと思います。

Q:昨年乗ったテストで使ったエンジンは、ホンダの最終スペックではないですよね。
琢磨:はい、まだ過給圧もフルブーストではないですし、回転数も徐々に上げながら。回転数を上げたときには過給を下げたり、逆に過給圧を上げて回転数を落としたりとか、徐々に段階を踏んで行って、そのなかで激しいスロットルをしたときのヘジテーションとかボギング(アクセルを早く開けすぎると、エンジンが息つきを起こす現象)とか、そういうマイナートラブルというか特性を調整していくというテストだったので。そういう意味では自分が走ってきたフィーリングをフィードバックすることで、マッピングが変わって乗り味が変わってくるとか、そういうのは面白かったですね。エンジニアとのやりとりでクルマが良くなっていくという部分ですね。

Q:チームはボビー・レイホールが率いるレイホール・レターマン・ラニガンということですが、琢磨選手がF1を戦っていた頃にボビーもジャガー・レーシングでF1チームの運営にかかわっていました。その頃からの付き合いがあったのですか? どういう形で彼とコンタクトがはじまったんでしょうか?
琢磨:昨年のシーズンが終わって、ボビーが連絡してきてくれて、2012年以降の、彼の壮大なプロジェクトというものを話してくれて、そのためにチームの一員になってほしいと。そういうふうにいわれたときはすごく嬉しくて。ボビーとのこれまでの接点というか、個人的にはよく知らなかったんです。2009年のインディ500の予選にボクが行ったときに、初めて彼と話をしました。そのときは彼のチームはスポット参戦でしたね。

このあいだ彼と食事をしながらいろいろ話をしていたんですが、彼としてはボクが2001年のイギリスF3というのを鮮明に覚えていて、逆にボク自身も彼がF1でジャガー・レーシングのチームプリンシパルをやっていた(2001年の)10ヶ月くらいのことはよく覚えています。というのも、オウルトンパークとかシルバーストンとか、幾つかの(F3の)レースに彼がよく来るんですよね。当時のボクのライバルチーム、元々はポール・スチュワート・レーシングだったんだけれども、当時はジャガーのジュニアチームで、それこそ今のフォーミュラ・ニッポンチャンピオンの(アンドレ・)ロッテラーと(ジェイムズ・)コートニーが乗っていて、僕らがやり合っていくなかでボビーとしては当然自分のジャガーF3チームのドライバーとやり合っているドライバーっていうのは気になるわけで、だから当時のボクのことはよく知っていてくれて。で、そこからF1にステップアップしていってその軌跡を彼はずっと見ていてくれて、インディカーに来てからもずっと注目していたと。この1年目、2年目にボクがどういうふうにレースを戦ったのかを見ていて、それで自分のチームに迎え入れたいということだったので、まあすべてはある意味2001年から始まっていたとも言えます。

Q:チームはここ数年はインディカーにはスポット参戦だけでしたね。
琢磨:2008年はハンター・レイで戦っていて、それ以前もCARTのほうでは錚々たるメンバーで実績がある。そういう意味ではチームは勝ちを知っていますよね。この2年間も、インディカーではスポット参戦でしたけれども、GTカーではBMWのワークスで2年連続でタイトルを獲っている。ファクトリーに行ったときに、本当にF1クオリティというか、たとえばアッセンブリーベイなんかも病院のようにきれいだし、そこで働いている人たちもすごくシステマチックにテキパキと仕事を進めていて、すごくそういう意味では頼もしく感じましたね。これがインディカーのプロジェクトで新たにメンバーを結成して、今はオハイオのファクトリーがGT、そしてインディアナポリスにインディのチームという形でファクトリーを作って、そこでオペレーションするっていうのは、すごく新しいチャレンジでもあり、レイホール・レターマン・ラニガンの歴史の新しい1ページになる。そこに自分もその一員として加われるのはすごく嬉しいことですね。

Q:チームメイトはまだ決まっていない?
琢磨:まだ決まっていないです。ただ、2台体制であることは間違いなくて、たぶん最初の2回のテストはボクだけになると思いますけど、おそらく3月のテストでは2台で走れればいいなと思っています。分からないですけど。

Q:ホンダのエンジン開発でも重要なポジションを担うことになりますね。
琢磨:そうですね、ホンダ代表のガナッシに対して、僕らがその次にいろいろ担当できるような、そういうオペレーションだったら嬉しいですね。

 最終回となる次回は、今季のスポット参戦を表明しているフォーミュラ・ニッポンについてお届けします。

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