元F1ドライバーの鈴木亜久里氏(現ARTAプロデューサー)、そしてスーパーアグリF1チーム(SAF1)の運営会社だったエー・カンパニーに対し、東京に本社を置くばんせい山丸証券が16億2000万円の返済金の支払いを求めていた裁判の判決が24日東京地裁で出され、亜久里氏側に対して請求金額の支払いを命じた。
これは一般各紙、通信社が報じているもので、2007年2月、SAF1の運営会社だったエー・カンパニーが、チームの運営資金としてばんせい山丸証券を通じて金融会社から15億円を借り入れ、亜久里氏が連帯保証。その後、金融会社はばんせい山丸証券に債権を譲渡していた。
一方、亜久里氏はばんせい山丸証券の紹介で07年シーズン開幕戦を迎えた3月、新たなスポンサーとして中国の石油関連企業、SSユナイテッド(実体はペーパーカンパニーと言われていた)と約30億円でで契約。2月に借り入れた15億円は、ばんせい山丸証券から“入金されるまでの立て替え”として提供されたものだったと言われている(F1速報2008年総集編参照)。
しかし、ばんせい山丸証券から紹介されたSSユナイテッドからのスポンサーフィーは一切入金されなかったため、亜久里氏は『損害を受けた』として15億円と利息を合計した16億2000万円との相殺を主張。裁判で争われていたが、判決では亜久里氏側に対して請求金額16億2000万円の返済金の支払いを命じた他、ばんせい山丸証券側と結んだ財務アドバイザリー契約料4725万円について、亜久里氏だけに支払いを命じている。
2006年の開幕戦から“奇跡”の参戦劇を果たし、世界中のF1ファンがその躍進ぶりを見守ったスーパーアグリF1チームだが、2007年のこの一件以降急速に資金繰りに苦しんでいたのは各所で報じられてきた通り。さまざまな売却話は頓挫し、SAF1は2008年第4戦スペインGPを最後にF1から撤退した。
なお、現在亜久里氏がプロデューサーを務めるARTAプロジェクトは、亜久里氏が2010年2月に新たに設立した株式会社アルネックスが運営している。