22日、富士スピードウェイで東海大学ル・マン・プロジェクトの歴史に終止符が打たれることが明らかにされ、長年の学生たちの挑戦の象徴であるオリジナルマシン、TOP03のラストランが行われた。
かつて日産自動車でレーシングエンジンを担当し、グループCカーのエンジンで世界中にその名を馳せた林義正エンジニアが工学部教授として東海大学に就任、工学部の学生たちとともに2001年にスタートしたル・マン・プロジェクト。
当初は研究発表を行うのみだったプロジェクトだが、周囲から「学生だけでレースに挑戦できる訳がない」という声を跳ね返しながら、2005年には実際に走行可能な『スタディカー』を製作。08年にはクラージュ製シャシーを学生たちの手で改良し、YGK製YR40Tエンジンを搭載した『TOP03』で、学生たちの手でル・マン24時間挑戦を達成。世界的に大きな注目を集めた。
その後アジアン・ル・マン岡山やインターコンチネンタル・ル・マン・カップ(ILMC)ズーハイ戦への挑戦を続け、学生たちのマシン改良とともに着実な実績を収めてきたル・マン・プロジェクトだが、林教授の定年期間延長が切れることとなり、『東海大学ル・マン・プロジェクト』としての歴史に幕を下ろすこととなった。
このプロジェクトからは自動車メーカーやモータースポーツ業界に多くの人材を輩出。これまでに200名以上がプロジェクトに携わっていたこともあり、そのOBやプロジェクトを支援してきた関係者、学生の保護者らを集め、22日にプロジェクトの集大成となるTOP03のラストランが行われた。
走行に先立ち、積み重ねた研究の成果として、学生たちからプロジェクトの成果と学んだことがそれぞれ発表され、締めくくりとして末永充史学生リーダーから、林教授から叱られたエピソードなどを交えつつ、「最後には『ありがとう』という言葉しかありません」と感謝が述べられると、会場のOBや関係者から大きな拍手が送られた。
その後行われたラストランでは、ややトラブルなどもあったものの、昨年参戦したILMCズーハイでもステアリングを握った密山祥吾と横溝直輝がTOP03をドライブ。学生たちによるピットストップのデモンストレーションも行われ、最後には笑顔で長年のプロジェクトが締めくくられることなった。