インターコンチネンタル・ル・マン・カップ(ILMC)第3戦となるアジアン・ル・マン・シリーズズーハイ戦は8日、決勝レースが行われ、フランク・モンタニー/ステファン・サラザン組2号車プジョー908 HDI FAPが4秒差でアウディ勢の追撃を振り切り優勝。プジョーがILMCタイトルを決めた。
ようやくドライコンディションを得ることができた決勝日のズーハイ。フロントロウから飛び出した2台のプジョー908 HDI FAPだが、最初のスティントからアウディ勢がプッシュ。リナルド・カペッロ駆る8号車アウディR15 TDIがプジョーの間に割って入るなど、週末初めて迎えたドライコンディションでアウディ勢のペースが良好だったが、路面の状況からアウディ勢のタイヤが少しずつ厳しくなっていき、プジョー勢が2スティントごとの交換だったのに対し、アウディ勢は毎スティント交換していく。
しかし終盤、プジョー2号車はブレーキに不調を抱え、ダートに飛び出してしまう。さらにプジョー1号車はセバスチャン・ブルデーがドライブ中にバックマーカーと接触。マシンを破損した上に、ストップアンドゴーのペナルティを課せられてしまう。
このプジョーのアクシデントでセーフティカーが導入され、プジョー陣営はアウディ勢の接近を許してしまう。チェッカーまで残り15分を切った頃、トップを走っていたプジョー2号車は燃料残量が無くなり、ピットインを余儀なくされることに。ドライブしていたサラザンはピットにマシンを向け、プジョースポール・トタルのクルーは必要な数リットルの燃料を2号車に補給した。
ピットアウトしたサラザンは、クリステンセン駆る7号車アウディの眼前でピットアウト! 残りわずかのレースでプジョー2号車が7号車アウディをなんとか抑えきり優勝。ILMCで3連勝を飾り、マニュファクチャラー、チームの両タイトルを決めた。
「ファイナルラップは本当に厳しかった」とサラザン。「ブレーキにもトラブルを抱えていたし、なんとかトムの前でいることができた。チーム、そしてフランクは大きな仕事をしたよね。僕らにとって素晴らしい週末だったよ」
一方、敗れることとなったクリステンセンだが「中国のファンにとっては素晴らしいフィナーレだったよね。ステファンは信じられないほど速いはずだったが、結果はこうなった。いいシーズンの終わりだったよ」と語っている。
優勝は2号車プジョー、7号車、8号車アウディと続き、1号車プジョーが4位。総合5位にはLMP2クラス優勝となったOAKレーシングのペスカローロ・ジャッドが続いた。6位にはゲスト参加のポルシェ911GT3Rハイブリッドがトップから26周遅れという素晴らしい成績を残している。
LM-GT2クラス優勝を飾ったのは、総合でも7位に食い込んだBMWチーム・シュニッツァーの78号車BMW M3。日本電産のサポートで学生のみのチャレンジを敢行した東海大学YGKパワーのクラージュ-オレカ・YGK(密山祥吾/脇阪薫一組)は、総合14位ながら見事完走を果たした。予選ではLM-GT1クラスのトップを獲得していたJLOCの69号車ランボルギーニ・ムルシェラゴ(井入宏之/関口雄飛/坂本祐也組)は、デフトラブルが発生したため10周リタイアとなっている。
なお、初代ILMCマニュファクチャラータイトルはLMP1がプジョー、LM-GT2はフェラーリが獲得。ILMCチームタイトルはLMP1がプジョースポール・トタル、LMP2がOAKレーシング、LM-GT1がラルブル・コンペティション、LM-GT2はチーム・フェルバーマイヤー・プロトンが獲得した。