PRESS RELEASE
2011年4月25日
桜井孝太郎、イギリスF3で初完走、クラス2位で初ポイントをゲット。
F1で活躍する小林可夢偉選手に続き、ヨーロッパを戦いの場に選んだ若きサムライ、日本人最年少BMWスカラシップドライバー、桜井孝太郎選手(16歳)が、4月22~25日にイギリス、オウルトンパーク・サーキットで開催されたイギリスF3選手権(第4~6戦)に、ハイテック・モータースポーツから参戦しました。
先週イタリア、モンツア・サーキットで開催されたイギリスF3選手権開幕戦での宙に舞う大事故によってマシンが全損し、今週のイベントへの参戦を危ぶまれていた桜井孝太郎選手ですが、ハイテック・モータースポーツの驚異的な努力とメカニックの数日に渡る徹夜仕事によって、無事、木曜日の夜にはオウルトンパーク・サーキットにマシンが到着し、参戦可能な状態となりました。
金曜日のフリー走行は、またしても実質的なシェイクダウンという状況で、コースを半周したところで燃料系のトラブルによってストップ。午後のセッションにすべてを委ねることになりました。午後のセッションは順調に周回を重ね無事初日を終えました。
土曜日の予選では、2周を走ったところでステアリングトラブルが発生。操舵角の異変によってスピンを喫した桜井孝太郎選手は、そのままマシンを降りることになりました。それによって、当然ではありますがセカンドタイムが107パーセントの予選通過基準タイムをクリアできず、審議会にかけられることになりました。審査の結果、前日のフリー走行で有効なタイムをマークしており、再車検によって今回のマシントラブルは不可抗力ということが証明されたので、第4戦の決勝進出を許されました。
土曜日に実施された第4戦は、スタートでライバルのバート・ヘルキマ選手の前に出て、何周にも渡って接触寸前の激しいバトルを展開。たまらずチームオーナーのライアン・シャープ監督が「今回はヘルキマ選手を前に出して、まずは完走を狙え」と無線で指示。バックストレートでクラストップを譲った桜井孝太郎選手は、無事30分のレースを走りきってチェッカー。イギリスF3選手権初完走、クラス2位入賞により、自身にとって初ポイントを獲得しました。
日曜日はイースター祭でお休みとなり、月曜日に迎えた第5戦、6戦は、桜井孝太郎選手にとって厳しいレースとなりました。18番手グリッドからスタートした第5戦は、スタートでヘルキマ選手をパスすることができず、ずっとその後塵を浴びながらチャンスをうかがっていましたが、残り3周でブレーキトラブルが発生してコースアウト。しかしハイテック・モータースポーツとしては、スタートからチャンピオンクラスに参戦するリッキー・クリスト選手とピエトロ・ファンティン選手が見事なワン・ツー・フォーメーションを築き、そのままチェッカーを受け、チームにとって今季初のワン・ツー・フィニッシュという嬉しい結果となりました。
午後2時半にスタートを迎えた第6戦は、40分という長い戦いです。桜井孝太郎選手は、スタートで再びヘルキマ選手の前に出ることに成功し、なんとか中盤までクラストップを快走したのですが、最終的にはヘルキマ選手の激しいチャージを退けることができず、完走、クラス2位。チームからはグッドジョブと讃えられましたが、本人にとっては、今回のレースはとても悔しい結果となりました。
桜井孝太郎選手のコメント
「まずは先週の絶望的なクラッシュのあとで、なんとかマシンを間に合わせてくれたチームの努力とメカニックの徹夜の作業に心から感謝します。毎日のようにファクトリーに顔を出して作業を見守っていましたが、本当に彼らの努力に対して、その感謝の気持ちを結果で返すしかありません。そう思ってオウルトンパークに臨みました。
このサーキットはとても難しいコースで、コースアウトした時のセーフティ・マージンもないので、今回のレースはとにかくマシンを短時間で煮詰め、完走を目指すことを目標にしました。僕自身はもっと走りたかったのですが、残念ながら許されたフリー走行もトラブルで半周で終わってしまいショックでした。それでも走れるだけ幸せという気持ちで、みんなに感謝してレースウィークは絶対に飛び出さない覚悟で走り続けました。
厳しいレースでしたけど、完走できたことでチーム全員が喜んでくれました。タイヤに関して、いろいろ理解できたことが最大の収穫です。全然走り込めていなかったので、タイヤ特性を掴みきってなかったのですが、今回の週末でかなり理解できました。
ポイント獲得は素直に嬉しいです。レースですからクラッシュしてでも戦いたかった気持ちも正直ありますが、チームオーナーの指示も理解できます。焦らず、着実に結果を積み重ねていくことで、僕自身も成長できると信じています。他のドライバーは去年のオフから20日間以上も走り込んでいますから、今、この現状での差は納得できます。F3というマシンを自分のものにするためには、まだいくつかの課題もあります。次のレースの前に、プライベートテストでその課題を克服できるかどうかがひとつの鍵だと思っています。頑張りますので、ぜひ皆さんの応援をお願いします。」