2009年から、DTMドイツツーリングカー選手権と車両規則の統一化について交渉を進めてきたスーパーGT500クラス。2014年からGT500クラスの車両規則が変更になることに合わせ、DTMとの合意は間近と伝えられているが、現在の状況、そして新たなGT500車両はどんな形になるのだろうか?
09年からDTMを運営するドイツITRとの間で交渉が進められてきたGT500車両とDTM車両の規則統一化。今年6月には、GTアソシエイションの坂東正明代表が「2014年の統一に向けて、方向性作りの議論は成立した」と明らかにしていたが、通常14年からの車両作りのためには、今季この時期には車両規則が明らかにされていなければ、マシン作りは間に合わなくなってしまう。では、今いったい交渉はどういう状況になっているのか、そして将来のGT500クラス車両はどうなるのか。オートスポーツ/オートスポーツwebが合同で、坂東代表にインタビューした。
坂東代表によれば、2014年からのGT500車両とDTM車両は、GTAとITRとの合意により、車体の核となるモノコックを共通化することが決まっているが、日本の産業を大切にするべく、同じ図面から重量、剛性ともに同じモノコックをドイツ、日本でそれぞれ製作。パーツも多くの部分で共通化され、車両外寸等も共通化。車体下面やリヤウイングも共通の物が使用されるという。現在のGT500マシンでは、ラウンドごとに新たなパーツが登場したりすることもあるが、これまでのGT500マシンよりも、大きく改造範囲が狭められることになりそうだ。
ただ、ここで気になるのが、ホンダの伊東孝伸社長がスーパーGT参戦を公言した、3年以内の市販化が進められているスーパースポーツ、ホンダNSXの存在だ。まだプロトタイプしか存在していない新NSXだが、ハイブリッドを搭載したミッドシップレイアウトとなっており、今までのGT500、DTM車両のようなFRではない。
ただ、これについても坂東代表は、今回のモノコック統一化が「GTAとITRの合意によるもの」であり、GTAはホンダに対し、ミッドシップのNSXで出ることを認めるものの、その車両製作については共通モノコックを使うこと、ミッドシップのNSXに性能調整(BOP)をかけることで参戦を認める形だ。
現在の交渉の段階として坂東代表は、すでに同じモノコックを使って車両作りをすることは合意に至っているものの、「細かい部分を早く決めなければいけない状況で、今月中には決められると思う」という。エンジンについては、DTMは現在使用している4リッターV8が2017年まで使用される予定で、排気量が変わると言われているGT500とは、BOPで調整される方向になりそうだ。
GT500に参戦する3メーカー、DTMに参戦する3メーカーと計6メーカーが共通したモノコックやパーツを使い参戦することになる未来のスーパーGT/DTM。ただ、共通パーツが多くなれば他の
メーカーも参加することも可能になる。その部分を聞くと、「可能だと思う」と坂東代表。もしかすると、今GT500/DTMに参戦している6メーカー以外にも、名乗りを上げるメーカーが出てくるかもしれない。
坂東代表のインタビュー詳細については、オートスポーツ本誌で掲載する予定だ。