今季HRTで3戦に出場したクリスチャン・クリエンが、来季はF1フル参戦を目指すと述べた。しかし一方で、現在のF1では資金を持ち込めるドライバーでないとシートを確保できない状況だと述べている。
「(2011年のシートについては)何の保証もない。最近のニコ・ヒュルケンベルグのケースを見てもそれは明らかだ。」とクリエンは自身のウェブサイトにおいてコメントしている。
「彼は素晴らしいルーキーシーズンを過ごし、ブラジルでポールポジションを獲得したにもかかわらず、チームから追い出された」
「僕については、いくつか選択肢はある。HRTもそのひとつだよ。3戦走れて、僕にとって2011年に向けたとてもいいテストになった。HRTは、いくつか失敗もあったけれど、じきにF1で立派に戦えるチームになるだろう」
「最悪の時期は過ぎた。2月にはパーツの箱がいくつかと数人のメカニックとエンジニアがいただけだった。その時には今シーズン、自分が3戦走れるとは思わなかったよ。(来年)3月までにはまだ時間がある。僕の目標は来シーズンは20戦すべてで走ることだ」
一方でクリエンは、現在のF1でシートを獲得するのはかなり難しいとして、その理由について次のような考えを示している。
「あっという間にF1のグローバル化が進み、その動きはさらに進行している。少し前にはイギリス人、フランス人、あるいはイタリア人であれば、F1でシートを獲得するチャンスが高かった。でも今は10年前、20年前に比べてシート数は増えていないにもかかわらず、ドライバーたちが世界中からやってくる。ロシア、インド、東南アジア……そのうち韓国や中国からも出てくるだろう。だから、チャンスは数字上で考えて低くなっているのは間違いない」
財政難に苦しむチームが多く、資金を持ち込めるドライバーでないとシートをつかむ可能性は低い状況だと、クリエンは述べている。
「成長国の政府や石油会社、携帯電話会社などの支援を得たドライバーなら誰であっても、2011年のグリッドにつく可能性が一番高いといえるだろう。経済的なファクターは過去2年でとても重要になった。キミ・ライコネンのようなビッグネームがラリーをするのにも、シートを確保するためにはパートナーが必要なんだ」
「でもF1界も学習していくと思う。約束した金がこれまで常に支払われたわけではないと聞いている。ペイドライバーがクラッシュが多く、結局貴重なポイントをチームのために持ち帰れなかったとしたら、話は少し変わってくると思う。1ポイント1ポイントが、コンストラクターズ選手権のために非常に重要だからね」
「チームには財政的な重圧がかかっている。唯一の解決法は、何度も話し合われてきたことだけど、F1のコストをもっと大幅に下げることだ」