2014年F1のローノーズデザインの安全性に懸念が生じている中、メルセデスのエグゼクティブディレクター(テクニカル)のパディ・ロウは、新デザインによって安全性は向上したとの考えを示した。
今年のF1ではクラッシュの際にマシンが舞い上がる危険を避けるため、ローノーズが採用された。
シャシーとノーズの規則の関係で、チームは“アリクイ”スタイルなど、異様な形状のノーズデザインを採用せざるを得ない状況であるが、レッドブル・レーシングのチーフテクニカルオフィサーであるエイドリアン・ニューエイは、新しいデザインにおいてもクラッシュした場合に大きな危険があると述べている。
「ノーズの高さによってマシンが舞い上がる可能性を減らせるという、FIAの調査の結果、(新たな)レギュレーションが導入された」とニューエイ。
「数年前、バレンシアで、マーク(・ウエーバー)が(ヘイキ・)コバライネンに追突した際に起きたような事故を防ぐためだ」
「(だが)私は今は逆のことが起きるのを心配している。マシンが(前のマシンの下に)潜り込んでしまうことをだ」
「前のマシンにまっすぐにヒットした場合、クルマの下に潜り、リヤクラッシュストラクチャーの下に入り込んでしまう。私としては、その方がずっと悪い状況だと思う」
FIAは先月末、各チームが採用したノーズデザインの安全性を確認するため、チーム側にノーズに関するデータを提供するよう求めた。
しかしロウは、新しいノーズによって安全性が向上したと考えている。
「この問題については、主にFIAインスティテュートのアドバイスに従い、何年も前からテクニカル・ワーキンググループ(TWG)が研究し協議してきた」とロウ。
「その結果、彼らは、ローノーズがベストソリューションであり、マシンが経験しうるさまざまなタイプの事故に対する最も優れた妥協策であるという提言をするに至った」
「あらゆるタイプの衝突に対応する完璧な解決策は存在しないが、他のマシンとのあらゆる角度での衝突、特にバレンシアでマーク・ウエーバーが経験したような、リヤタイヤへの衝突に関して考慮する必要がある。ウエーバーのような接触ではマシンが舞い上がる危険があるからだ」
「そしてその種の衝突への対策としてはローノーズが非常に有効だ。分析および研究によってそれが最善の妥協策であるという結論が示されており、私はTWGによって行われてきた作業を尊重する」