今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。F1第4戦 バーレーンGPの週末を通して、20人のドライバーから「ベスト・イレブン」を選出。レース結果だけにとらわれず、3日間コース上のプレーを重視して採点する。(最高点は星5つ☆☆☆☆☆)

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☆ ダニール・クビアト
「チームのオペレーションに問題あり」と予選後に言い切ったのは、たいしたもの。まったくノーパワーで予選17位、シャシー・アップデート面で“あとまわし”にされている。苦戦情況が続き、どうしてもダニエル・リカルド優先策を採らざるをえない、いまのレッドブル。耐えるレース続き、それでも9位入賞。

☆☆ フェルナンド・アロンソ
 皮肉ではなく、後方集団バトルは、若きミナルディ時代を思い出させる。スペイン前国王殿下が観戦する前で、この有様。以前の彼ならば不満を爆発させたはずだ。優等生コメントを繰り返す態度は立派だが、ますますイライラがつのるばかり。特にフェラーリに周回遅れにされるとき、彼の激情が透けて見える。

☆☆ セバスチャン・ベッテル
 久しぶりに熱かった(熱すぎた)ベッテル。再三ロズベルグを攻撃、ミスを犯すほど挑んでいった。大敵に対峙するフェラーリがふたりに異なる戦法を用いたのは良い。終盤に強いオーバーステアが発生、バルテリ・ボッタスに蓋をされたのは、やむをえないか。

☆☆☆ パストール・マルドナルド
 41周目ピットインの際に1分以上もタイムロス、周回遅れ15位まで転落。フリー走行から、ずっと乗れていたのに予選ではブレーキ変調、あげくにレースでも……。低速エリアのパフォーマンスを進化させたロータス、それがマルドナルド上昇を可能にした。

☆☆☆ ダニエル・リカルド
 白煙とともに6位フィニッシュ、23秒後ろでゴールしたロマン・グロージャンも驚いただろう。テレメトリーに直前異常があったかなかったか、そこが気になる。あったならチームはしたたか、なかったらリカルドがしたたか。バーレーンGP前の「パリ会談」において、ルノーのカルロス・ゴーン社長は緊縮財政方針を見直すことにした。この先2016年以降を見据え、ルノーはどう動くのか。トラブル多発現象の裏にはパワーユニット抜本モディファイのための策が潜んでいるのかもしれない。

☆☆☆ニコ・ロズベルグ
 予選でまたハミルトンに0.558秒の大差をつけられた。劣ったのはセクター1、コーナーは実質3つしかない。ここだけで0.257秒差は1&4コーナーのブレーキングタイムの差になる。コーナーが7つあるセクター2では0.137秒差だっただけに“敗因”は明らか。今年やられっぱなしのニコは昨年と比べるとブレーキングが課題になっている。レースではあと2周、その1コーナーで惜敗3位に。

☆☆☆☆セルジオ・ペレス
 昨年予選5位、決勝3位。今年の8位も彼の良い部分が出た。第1スティントをソフトタイヤで最長17周、前後タイヤ劣化率を極力抑えた走法だ。2012年イタリアGP2位も、それで獲得。当時の同僚、小林可夢偉との違いが見られた。前方グリッドからだと攻撃心むき出しで接触プレーの多い彼、中団からだと、こういうレースを貫く。どっちが本当のペレス?

☆☆☆☆ ロマン・グロージャン
 自己ベストラップ15番目なのに連続7位入賞。第3スティントをミディアムで26周カバー。リヤタイヤに神経を配りながら、加減速コントロールに繊細さが感じられた。ここでは表彰台3位が2回、バーレーンの肝をつかんでいるじゃん。

☆☆☆☆ バルテリ・ボッタス
 本人も認めたように、ようやく体調が万全となった。それは縁石をいままで同様に使っているので見てとれた。マッサに0.363秒差の予選5位、レース終盤にベッテルを完封して4位。DRS圏内まで接近されながら翻弄した実戦スキルは、絶妙なラインワークと出口地点のアクセルワークだった。ベッテルにすれば次にボッタスと手合せになった時、このリベンジにいくだろう。それを早く見てみたい。

☆☆☆☆☆ ルイス・ハミルトン
「盤石」のひとこと。夜空に光る打ち上げ花火みたいな“ロケット・スタート”。印象的なショートシフト、メルセデス・パワーユニットのトルクカーブを完全把握したホイールスピン・ゼロの技だ。

☆☆☆☆☆+ キミ・ライコネン
 ついに最速ラップ記録歴代2位タイ、1位77回ミハエル・シューマッハー、2位41回アラン・プロスト。この記録が雄弁に彼の“自己最速主義”を語る。レース中盤に無線で流れた「ミディアムがいいのに何でソフト!?」。欲が出てきたキミ、その後のやりとりはオンエアされなかったが、ピット側とコミュニケーションしながら第2スティントを23周も──WRC時代のドライバーとナビの会話みたいに。それで、ラストスティント17周勝負を決意。これでバーレーンは表彰台6回、2006年は22番グリッドから3位へ。金曜から復活を予感していたポディウム返り咲きだ。すぐひとくち飲んだらシャンパンじゃないぞ、インタビューが始まるとマイクNGだよ──ジャッキー・スチュワートさんからマイクを取ると、ひとりしゃべりが止まらないキミ。今季の総集編この場面はきっと使われることだろう。

☆なし フェリペ・マッサ、ジェンソン・バトン、ニコ・ヒュルケンベルグ、マックス・フェルスタッペン、カルロス・サインツJr.、ウィル・スティーブンス、ロベルト・メリ、マーカス・エリクソン、フェリペ・ナッセ

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