トップチームの中でもっとも早い1月24日に新車を発表したマクラーレン。今シーズンは2009年以来、テクニカルレギュレーションが大きく変更され、どのようなマシンが登場するか、注目される中でのニューマシン公開となった。

 2014年のF1マシンで関係者が関心を寄せる点のひとつが、ノーズの処理方法である。それはレギュレーションによって、ノーズの先端から50mm後方で、その断面の中心がリファレンスプレーン(車体の基準面のこと。通常は車体底面の一番低い部分を差す)から185mm以上、上方にあってはならないと定められているためだ。これまでの規定は500mmだったから、315mmも低くなったわけである。さらにノーズ先端はフロントアクスル(前輪車軸)より750mm以上前方になければいけないとも規定されていたため、デザイナーたちはこれまでのようなハイノーズからデザインを変更しなければならなくなった。

 新しいレギュレーションを額面通りに解釈すれば、2014年のマシンはローノーズとなる。ローノーズといえば、マクラーレンがいまから11年前の2003年用に開発したMP4-18が思い出される。これはマイク・コフランによって開発された極端に細長いノーズが特徴的なマシンで、その風貌から「アリクイノーズ」と呼ばれたが、クラッシュテストを通過することができず、実戦投入されることなくお蔵入りとなったマシンだ。

 今回、マクラーレンが発表したMP4-29も、そのアリクイノーズを思わせる風貌となっている。アリクイのように先端が極端に細くなっている理由はローノーズになったことで、前方からノーズ下に流れる気流の妨げを、可能な限り少なくしたかったからだと考えられる。そのことを証明しているのが、マシンを前方から見たときのノーズの細さに対するフロントウイングのステーの幅の広さである。ウイングを吊り下げるステーの幅を広げることで、前方からの空気流を確保しているのである。

 MP4-29でノーズ以外に注目されたのは、フロントサスペンションがプルロッドからプッシュロッドに変更されていたことだ。昨年のマシン、MP4-28が1980年以来、「表彰台ゼロ」というまさかの結果に終わった最大の要因は、それまでと異なるコンセプトの空力をトライしたからだった。それがプルロッドへの変更だった。変更した理由は「メカニカル面で改善を図ろうとしたわけではなく、レッドブルを倒すためにあえてレッドブルと異なるアプローチへチャレンジする必要があった」(マクラーレン関係者)からだった。

 ところが、そのチャレンジは失敗。今回、1年間の後戻り覚悟で、再びプッシュロッドにしてきたのである。その点(フロントサスペンション周辺の空力)に関して言えば、MP4-29はチャレンジングではなく、コンサバティブなマシンといえるかもしれない。
 しかし、2014年のレギュレーション変更は空力よりも、V6ターボエンジンとともに投入される新しいパワーユニットのほうがはるかに大きい。MP4-29がチャレンジング(意欲的)なマシンかどうかは、ヘレステストの走りを見てから判断したい。

 

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