3月7日にピレリから、今年のシーズン中テストの日程が以下のように発表された。
1回目 バーレーン
4月8日 ケータハム
4月9日 メルセデスAMG、ウイリアムズ
2回目 バルセロナ
5月13日 ザウバー、トロ・ロッソ
5月14日 マクラーレン、フォース・インディア
3回目 シルバーストン
7月8日 フェラーリ、ロータス
7月9日 レッドブル、マルシャ
この日程は2013年のコンストラクターズ選手権上位チームから順に、希望する日を1日ずつ選んでして決められたものである。レッドブル、メルセデスAMG、フェラーリといったトップチームが希望する日をほぼ無条件で獲得したのに対して、下位チームは残った日から選択。つまり、13年のコンストラクターズ選手権最下位のケータハムが担当する4月8日はどのチームも希望しなかったことになる。その理由をあるチーム関係者は「テストでは試したいことがたくさんあるので、タイヤテストはできるだけ後半にやりたいから」と答えた。
実は上記の日程はあくまでタイヤテストの担当日であって、それ以外のチームも同じ場所でテストを行う。つまり、4月8日はケータハムだけでなく、ほかの10チームもテストを行えるのだ(チームが希望すればだが)。その場合、タイヤテストの担当となっているケータハムは、2015年用のタイヤ開発のためのピレリ向けのテストを行なわなければならず、14年のタイヤのデータ取りが行えない。しかも、セッティングなどの変更も自由に行えないのだ。これに対して、他のチームは自由にテストができる。
ほとんどのチームはウインターテストで十分な走り込みができなかったため、シーズン序盤のテストはタイヤテストに時間を割かれたくない。シーズン後半のバルセロナやシルバーストンをタイヤテストに充てたのはそういう理由である。
では、なぜメルセデスAMGとウイリアムズが、バーレーン・テストの2日目を希望したのだろうか? コンストラクターズ選手権下位に終わったウイリアムズにはあまり選択肢がなかったが、メルセデスAMGはコンストラクターズ選手権2位であるから、自ら進んでその日を希望したこととなる。
チームマネージャーのロン・メドウによれば、「我々は2月から3月にかけてのバーレーン・テストでしっかり走り込むことができた。コース的にもバーレーンは特殊なサーキットで、高速コーナーが少なく、それよりもバルセロナやシルバーストンで多くの走り込みを行いたかったためにタイヤテストはバーレーンでやらせてもらうことにした」という。
おそらく、テストで好調だったウイリアムズも同様の考えだろう。こんなところにも、メルセデスAMGとウイリアムズの仕上がりの良さが感じられる。
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日本人F1ジャーナリストの尾張正博氏がグランプリの現場から、ドライバーやチーム首脳の生の声、パドックを賑わせているニュースの真相、レースのキーポイントやサイドストーリーなどを自身の取材情報からお届けする。2013年はGPインサイドとしてお届けしていた