スコット・ディクソンが今季3勝目
武藤英紀は4位で惜しくも表彰台に届かず

2009年6月27日(土)
決勝
会場:リッチモンド・インターナショナル・レースウェイ(全長0.75マイル)
天候:快晴
気温:23〜27℃

2009年IRL インディカー・シリーズ第8戦は、恒例のナイトレースとしてバージニア州のリッチモンド・インターナショナル・レースウェイで開催された。インディカーのシリーズ戦が開催される中で最短の全長0.75マイルのオーバルコースでは、1周すべてが高速コーナリングといってよく、ドライバーには高い集中力の持続が求められる。しかもレースは300周の長丁場だ。

厳しいバトルを戦い抜いて勝利をつかんだのは、予選2番手のスコット・ディクソン(Target Chip Ganassi Racing)だった。ピットストップ時に、ポールスタートだったダリオ・フランキッティ(Target Chip Ganassi Racing)の前へと躍り出ると、その後はトップを守り通し、0.3109秒差で今季3勝目一番乗りを果たした。これでディクソンの優勝数は19回となり、彼はサム・ホーニッシュJr.と並んでIRLインディカー・シリーズの最多勝ドライバーとなった。

137周目にフルコースコーションが出された時、トップを走っていたフランキッティは燃料ぎれに陥り、ピットロードがオープンになる前にルールで許されている2秒間の給油を行った。この後、フランキッティはピットがオープンになってからタイヤ交換のピットストップもしなければならなかったのに対し、ディクソンは両方の作業を1回のピットストップで済ませ、トップの座を手に入れた。2位を走っていた序盤、ディクソンは空気抵抗が低くなるようフランキッティのマシン後方につけ、より多くの燃料をセーブできていた。この序盤の燃費の差が、結局は勝敗の決め手となった。3位はグラハム・レイホール(Newman/Haas/Lanigan Racing)で、オーバルコースにおけるキャリアベストとなった。

武藤英紀(Andretti Green Racing)は、キャリア初優勝を目前で逃す結果となった。予選8番手からスタートした武藤は、ポイントリーダーのライアン・ブリスコー(Team Penske)がクラッシュして出されたフルコースコーションでほぼ全車がピットインした30周目、コースに残ってトップに立ち、ピットストップを行う105周目までトップを守り通した。武藤は2回目のピットストップをグリーンフラッグ下で行ったために一端トップから1周遅れとなった。しかし、3回目のピットストップを必要とする作戦の他のマシンとは違い、2回のみのピットストップ作戦に出た武藤は、それがグリーンフラッグの状況であれば再びトップに返り咲けるはずだった。

しかし、残り50周でエリオ・カストロネベス(Team Penske)のアクシデントによるフルコースコーションが出され、武藤はリードラップに復帰することができず、4位でのゴールとなった。それでも、レースを通して速く、安定したペースを保ち通した武藤の走りは見事で、2戦連続のトップ5フィニッシュが実現された。

リッチモンドではTeam Penskeの2人がともにクラッシュ。シリーズランキングは1位がフランキッティ、2位がディクソンで両者は1点差。3位に順位を落としたブリスコーはフランキッティとの差が26点差と開いた。

コメント
スコット・ディクソン(優勝)
「今日のレースはオーバーテイクが本当に難しかった。燃費セーブの重要性が高くなり、最初のスティントでより多くセーブできたので、フランキッティをパスして優勝することとなった。トップに立ってからも緊張感は高いままだった。走行ラインを少しでも外れればグリップが大きく落ちるため、絶対にミスを犯すことのできない戦いになっていたからだ。今日はTeam Penskeの2人がアクシデントでリタイアしたので、ポイントリードを広げることもできた」

ダリオ・フランキッティ(2位)
「優勝を逃して残念だ。今日の私とディクソンは全くの互角だったと思う。しかし、ピットで前に出られてしまい、逆転することはできなかった。もし、今日の私にミスがあったとしたら、それは武藤をパスしようと序盤に燃料を使い過ぎてしまったことだろう。今日のレースはオーバーテイクがほとんど見られなかったが、私を含めたドライバー全員が能力の全てを出しきり、ギリギリのところでマシンをコントロールし続けていた」

グラハム・レイホール(3位)
「チームが持つ高い実力を見せることのできたレースだった。プラクティスが始まった時のマシンはハンドリングがとても悪かった。我々は2回目のプラクティスまでにセッティングをどうすべきかの深い検討を行った。その結果、レースでのマシンはトップグループで戦い通せるものに改善されていた。ついにオーバルでも表彰台に立つことができ、とてもうれしい」

武藤英紀(4位)
「昨日の夜のプラクティスではグリップがあまり感じられず、チームメート、そしてエンジニアたちとマシンにどんな変更を施すべきなのかを話し合いました。レースにはセッティングを大幅に変更したマシンで臨んだのですが、ハンドリングがとてもよくなっていました。クルーたちのピット作業も最高でした。最後のフルコースコーションが出なければ、勝てていたはずです。アイオワで感じた通り、我々は今、ようやくレースで勝てるレベルにきていると思います」

ロジャー・グリフィス|HPD レース・チームマネジャー
「リッチモンドでのレースではコーナー進入でアクセルを緩める必要があり、エンジンの回転数は8000rpmぐらいまで落ちることもある。今季からインディカーは上方排気になっており、リッチモンドのナイトレースではアクセルオフをすると炎がエキゾーストパイプから吐き出され、昼間のレースとは異なるエキサイティングさが出ていた。レースはオーバーテイクが非常に難しく、燃費や作戦が大きなカギを握ることとなった。Target Chip Ganassi Racingがほぼ完ぺきなレースを戦い、Andretti Green Racingも作戦を見事に使って4位から7位を占める好結果を手にした。中でも武藤の走りは攻撃的で、ミスもなく、フランキッティを相手にトップを走り続けたのはすばらしかった」

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