アイオワで開催されるIZODインディカー・シリーズ第10戦。22日に行われた予選レースをエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)が制し、ポールポジションを獲得した。佐藤琢磨は、予選レースヒート1で2位に入り、ヒート3に進むも7位という結果だった。

 アイオワでのレースは毎年暑い。今年もその例に漏れず、予選日の今日、日中の気温は33度に達した。湿度が高く、体感温度はそれ以上だった。

 去年からアイオワでは予選レースが採用されている。今年はその方式に手が加えられた。最初のグループ分けはプラクティスでのタイムではなく、正式にシングルカー・クォリファイを行って決めることとされた。ただし、そのアタックは2周連続ではなく、1周のみ。ヒート・レース3つの距離は30周から50周へと伸ばされた。タイヤの消耗をより進行させ、順位変動を起こり易くさせるのが狙いだ。

 シングルカー予選でトップ6となったドライバーたちは自動的にヒート3への出場権を得る。去年はプラクティス・タイムでの上位8人に同じ権利が与えられていたが、今年はそれが6人へと減らされ、その代わりにヒート1とヒート2、ふたつの予選レースで1位と2位になったドライバーたち、合計4人がヒート3に駒を進めることができるルールとされた。

 シングルカー予選のトップはカストロネベス。2番手はマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)で、3番手がウィル・パワー(チーム・ペンスキー)、4番手トニー・カナーン(KVレーシング)、5番手ジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)、6番手オリオール・セルビア(パンサー・レーシング)とシボレー勢が上位を独占する結果となった。

 予選ヒート1はシングルカー予選での8位以下、偶数順位のドライバーたち。ポールスタートだったスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)が一度もトップを明け渡すことなく逃げ切り優勝を飾った。2位も2番手グリッドからスタートした佐藤琢磨。3位は4番手スタートだったアレックス・タグリアーニ(BHA)だった。

 アイオワでの予選レースではシリーズ・ポイントが与えられる。優勝するとポールポジションを獲得できるだけでなく、9点ものポイントが稼げる。2位だと8点、3位だと7点……と下がっていって、7位と8位は3点、9位と10位は2点、11位と12位は1点が与えられる。

 ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)はシングルカー予選で大失敗して24台出走中の22番手となり、その失敗をとうとう取り返すことができなかった。ヒート1のスタートで一気に4位にまでジャンプ・アップしたが、その勢いでポイント獲得までいくことは叶わなかったのだ。

 予選ヒート2はエド・カーペンター(ECレーシング)がトップからその座を保ち続けたが、終盤土壇場、47周目に2位へと順位を落とした。7番手スタートから驚異的な追い上げを見せていたグラハム・レイホール(RLLR)がついにトップにまで手を届かせたのだ。3位は6番手スタートだったサイモン・ペジナウ(シュミット・ハミルトン)で、ここまでがポイント圏内。ゴールを目前の49周目にジェイムズ・ジェイクス(RLLR)がクラッシュし、レースはイエロー下でのゴールとなった。

 ヒート1の3位以下は12番以下の偶数グリッドがフィニッシュ順で与えられ、ヒート2の3位以下は11番以下の奇数グリッドから明日のレースではスタートを切る。

 ヒート1からはディクソンと琢磨、ヒート2からはレイホールとカーペンター、4人がヒート3への進出を決めた。ヒート3はシングルカー予選の上位6人と合わせ10人によって争われるのだ。

 このレースでもカストロネベスがシングルカー同様に他を圧倒した。完璧なポール・トゥ・フィニッシュ。9位と10位を周回後れに陥れるほどの速さで、去年のバーバー・モータースポーツ・パーク以来となるキャリア38回目のポールポジション獲得となった。2位でゴールしたのはパワー。ペンスキーが1-2フィニッシュを達成し、アンドレッティ軍団はヒンチクリフが3位でアンドレッティが4位と、予選レースではペンスキー勢相手に完敗を喫した。

 トップ4がシボレーだった。ホンダ・ユーザーのトップはディクソンによる5位。しかし、ディクソンの戦いぶりはとても見応えのある、素晴らしいものだった。8番手からのスタートに失敗した彼は一旦最後尾の10位まで下がったのだが、そこからセルビア、琢磨、レイホール、カーペンター、カナーンを抜いてみせたのだ。途中にイエロー・フラッグでもあれば、上位4人の間に割って入っていくことも可能だったかもしれない。

 最後尾の10番グリッドからスタートした琢磨もまずまずの戦いぶりだった。1ラップを終えた時点で8位に上がっていた琢磨は、セルビアとディクソンにパスされて一度は10位へと逆戻りした。しかし、そこから長い長いバトルを戦い、まずはセルビアを抜き返し、レイホールをパスし、さらにはカナーンまでも抜いて7位でフィニッシュしたのだった。

 琢磨はプラクティス中にエンジン・トラブルを出し、シングルカー予選の前にエンジン交換を行っていた。カストロネベスは予選ヒート3でエンジンが規定の2,0000マイルを越えたのでエンジンを換装したが、本来積む予定だったインディ500前のエンジンにトラブルが発見されたため、新スペックのシボレー・エンジンを積むことになり、琢磨同様に10グリッド降格のペナルティを受け入れることになった。

 それでも、カストロネベスは今日の勝利を喜んでいた。「チームの力だ。エンジニアのジョナサン・デューグッドとジョン・エリクソンがマシンを素晴らしいものに仕上げてくれた。ポール獲得はいつも嬉しいものだが、正直なところ、シリーズ・ポイントがもらえる点で今日のポールは本当に嬉しい」とポイント・リーダーのカストロネベスは語った。アイオワでの予選レースで勝つと9点ものポイントが与えられるのだ。まだカストロネベスにはタイトル獲得経験がない。

 琢磨は7番手という結果、そしてマシンの仕上がり具合にまずまずの満足度を得ていたようだった。「2レースを戦えたのは大きかった。僕らは2レース目だったことで、ヒート3での一部のドライバーたちより速く走ることができていた。でも、上位はまだまだ速い。ヒート3での僕らのマシンはかなりよかったけれど、明日に向けてはもう少しスピードを見つけないとならない」と彼は語っていた。

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