2009年F1第17戦アブダビGPの決勝が終了し、表彰台に上った3人のドライバー、セバスチャン・ベッテル、マーク・ウエーバー、ジェンソン・バトン、6位初入賞を果たした小林可夢偉など各ドライバーたちが、それぞれのレースについて語った。
2009年F1第17戦アブダビGP日曜日ドライバーズコメント
1 ルイス・ハミルトン(マクラーレン) 決勝リタイア
スタートはうまくいったけれど、ブレーキに何か不調があることは序盤から感じていた。3周か4周した後、右リヤブレーキパッドに問題があることが分かった。それでセバスチャンやマークとのギャップを広げることができなかった。トラブルが悪化していったので、チームから無線でそのラップの終わりにピットに戻ってくるよう言われた。もちろん週末を通して示してきたパフォーマンスを発揮できずに残念に思っている。でもレースでは時にはこういうことも起こる。それでも僕たちは自分たちの努力を誇りに思っていいと思う。僕たちがコンストラクターズ選手権3位を勝ち取れるなんて、シーズンの初めに誰が思っただろう。信じられないような一年だった。今は来シーズンをスタートするのが待ちきれない。来季は僕はまた世界選手権を争うことができるからね。
2 ヘイキ・コバライネン(マクラーレン) 決勝11位
とてもいいスタートを決めて、何台か抜くことができた。でも残念ながら僕のマシンのパフォーマンスが期待していたようなものではなく、燃料をたくさん積んでいたことで、それ以上順位を上げることができなかった。でも僕は最終コーナーまで戦い続けたよ。ピットストップの後、KERSが作動しなくなったので、マシンがKERSなしでいいパフォーマンスを出せるようにうまくやらなければならなくなった。それでもレース後に僕らは、自分たちのシーズン全体を振り返って、どれだけ素晴らしい仕事をしてコンストラクターズ選手権3位の座を確保したか、思い返すことができる。それもチームが信じられないような努力をしてくれたおかげだ。僕らは決して諦めずに形勢を一変させた。チームは2005年以来初めてコンストラクターズ選手権でフェラーリに勝つことができた。このチームの一員であることを本当に誇りに思っている。
3 ジャンカルロ・フィジケラ(フェラーリ) 決勝16位
こんな風に(コンストラクターズ選手権)3位の座を逃してしまうことになり、がっかりしている。でも今日の僕たちのペースは、チームメイトの12位という順位から見てとれるような程度のものだった。僕はいつもどおり全力を尽くしたし、いいレースをしたと思っている。ドライブスルーペナルティのせいでセカンドスティントが台なしになったのは悔しい。いいスタートをしてグロージャンを抜いた。彼はその後、シケインをカットして僕の前に出た。コーナリングでうまくやり、僕に奪われたポジションを取り返したんだ。ポイントにおいてチームに貢献することができず、自分の価値をきちんと示すことができなかったことを残念に思っている。あいにくF60はとてもドライブしにくいマシンで、予選が特に大変だったために後方からのスタートになってしまい、これがいつもレースに大きく響いた。さて、将来のことを考える時がきた。どこかのチームでレースシートをゲットできるかどうかまだ分からないけれど、僕がこれからもフェラーリドライバーなのは確かだし、それを嬉しく思っている。
4 キミ・ライコネン(フェラーリ) 決勝12位
ここでは僕らのマシンはコンペティティブではないことは分かっていた。いい週末ではなかったのは確かだけれど、僕たち全員、自らに恥じるところは一切ないと思っている。僕たちは自分たちの持つパッケージでできる限りのことをした。スタートではコースは少し滑りやすかったために、コバヤシに抜かれてしまった。彼は今日とても速かった。その後、ブラウンの2台が最初のピットストップの後で僕の前でコースに復帰し、その影響で僕たちのレースは大きなダメージを負い、入賞が不可能になってしまった。フェラーリとのキャリアをこのような結果で終えるのは残念だ。僕は毎戦優勝を狙えるような状況を望んでいたけれど、今年の僕たちはそうではなかった。
5 ロバート・クビカ(BMWザウバー) 決勝10位
ファーストスティントではルーベンスと同じぐらいのかなり速いペースで走れたが、セカンドスティントでとても遅かったために、レースを失った。マシンはとても好調だった。でもタイヤを換えてから、グリップが全くなくなった。コースはどんどんスピードが出るコンディションになっていったが、僕は他のドライバーたちのペースについていくことができなかった。すごく不可解だよ。セバスチャン・ブエミとのバトルはかなりタフで、少し危険だった。僕たちはシケインへのブレーキングで接触しかけた。彼は最初に左に寄り、左コーナーのイン側をブロックした。そこで僕が右に動くと、彼はシケインの右コーナーのセクションの内側の高い縁石の方に僕を押し出した。それで僕はスピンしてしまったんだ。彼は僕に全くスペースを残しておかなかった。この4年間のことをチームに心から感謝したい。来年もグリッドで彼らと会えるよう願っているよ。
6 ニック・ハイドフェルド(BMWザウバー) 決勝5位
5位にはとても満足している。マシンの力を最大限に引き出し、4ポイントを獲得することができて、いいレースだった。このポイントのおかげでコンストラクターズ選手権でウイリアムズの上に上がるという、シーズン最後の目標を達成することができた。ここ数戦は少しツイていなかったけれど、今日はマシンのポテンシャルをしっかり引き出すことができた。かなり長い時間にわたって、ワールドチャンピオンマシンであるブラウンと同じスピードで走ることができた。長めのスティントをとるという戦略はうまくいき、コースにラバーがのってくると走るのがより一層楽しくなった。僕らが一緒に戦う最後のシーズンを満足いく形で終えることができた。今はすごく感傷的になってきているよ。最後の数周は、集中力を保つために、気持ちを落ち着けなければならなかった。
7 フェルナンド・アロンソ(ルノー) 決勝14位
思っていたようなパフォーマンスを発揮できず、今日は不本意な結果となった。ルノーとの最後のレースだけに、シーズンをいい形で終えたかったよ。この数年共に成し遂げてきたすべてのことに関して、チームの全員に感謝したい。僕たちは一緒に何度か素晴らしい勝利を挙げ、選手権を勝ち取った。僕のキャリアにおいて最も素晴らしい7年間だった。絶対に忘れはしないよ。
8 ロメイン・グロージャン(ルノー) 決勝18位
今日のレースにはがっかりしている。いいスタートを決めたけれど何度かブロックされた。さらにレース中にブレーキトラブルも発生した。終盤にフィジケラに抜かれてしまったのも残念だ。でもマシンのパフォーマンスの関係で、今日自分自身の力を発揮することができなかった。シーズンの終わりを迎えたわけだが、今年は多くのことを学べたと思う。特にフェルナンドのチームメイトになれたことは大きかった。
9 ヤルノ・トゥルーリ(トヨタ) 決勝7位
簡単なレースではなかった。素晴らしいスタートを切り、最初の周でBMWの2台と争ったのは面白かったが、少しトラクションに苦しんだ。最初のスティントで、リヤタイヤがタレて、その後、ブレーキの安定性の問題が出た。一生懸命に攻めて、いくつか良いラップを刻み、トップ6を争った。7位という結果は悪くなく、チームにとってはかなり良い成績だ。可夢偉の走行は素晴らしく、僕も大変嬉しい。彼はこの結果に値するドライバーだ。
10 小林可夢偉(トヨタ) 決勝6位
本当に良いレースだった。スタートでライコネンを抜いたが、最初のスティントで彼の後ろを走っていたらトップ6入りは難しかったので、この追い抜きが結局重要だった。抜いた時、ポイント争いに食い込むペースを刻めると自信を持つことができ、コンスタントに速く走行することを目標とした。チームは素晴らしい仕事をしてくれた。戦略とピットストップが僕がポイント圏内に入れた大きな要因となった。今季はF1でレースをすると思っておらず、機会を与えてくれたトヨタに感謝したい。今日はポイント獲得が目標だったが、6位入賞には少し驚いている。素晴らしい結果であり、とても満足している。
11 ハイミ・アルグエルスアリ(トロロッソ) 決勝リタイア
スタートはそれほど悪くなかったけれど、他のマシンに取り囲まれて、オープニングラップのターン19でミスをした。リヤが流れてコースアウトし、いくつかポジションを落とした。その後、ふたつのギヤが壊れるというギヤボックスのトラブルがあり、ピットインすることにした。でもチームは僕が入ってくると思っておらず、僕は隣のレッドブル・レーシングのボックスに入ってしまうという間違いがあった。そのままコースに戻ったが、ギヤボックスが壊れてリタイアしなければならなくなった。
12 セバスチャン・ブエミ(トロロッソ) 決勝8位
ブラジルに続いてまたポイントを獲ることができ、いい形でシーズンを終えることができた。この4戦、チーム全員が素晴らしい仕事をしてきたので、来年が楽しみだ。序盤はロズベルグのペースについていけずに苦労したが、周回を重ねていくうちにペースがよくなっていった。ナカジマの後ろで時間をロスしたけれど、今日はベストの仕事ができ、いいレースだったと思う。ロバートとのバトルはとてもフェアなものだった。僕は彼に十分なスペースを残しておいたと思うよ。
14 マーク・ウエーバー(レッドブル・レーシング) 決勝2位
とてもいいスタートを決めて、セバスチャンのアウト側に行こうとしたが、ターン5までは距離があったので、イン側に戻ってうまくコーナーから立ち上がらなければならないと思った。1コーナーの後で左リヤに強くヒットされ、パンクが心配になった。レースエンジニアのシアロンから、タイヤの内圧は十分保たれていると聞いて安心したよ。序盤数周、ルイスは少し苦戦していたようで、セバスチャンと僕は思っていたよりも彼に接近することができた。その後状況は安定していき、プライムタイヤにも満足できた。今日は後半のふたつのスティントではセバスチャンの方が少し速かった。特に最終スティントがね。僕は金曜同様オプションタイヤでいい感触を得られなかった。オプションだととても遅くなったので、安定性のあるプライムの方が気に入っていた。レース終盤、ジェンソンがギャップを縮めてきた。「これは厳しい戦いになるぞ」と思ったよ。僕たちの方がトップスピードが少しいいのは分かっていたけれど、差はそれほど大きくなかったので、ブレーキングポイントを正確にするよう心がける必要があった。彼とは限界ギリギリのクリーンなバトルをした。ジェンソンが今年どういう走りをしてきたか分かっていたからこそ、こういうバトルができたんだ。チームが成し遂げたことについておめでとうと言いたい。そして今年初めに僕が事故から復帰してきた時に忍耐を示してくれたことに感謝したい。今年セバスチャンと走るのは本当に楽しかった。ルノーは僕らに素晴らしいエンジンを提供してくれたし、レッドブルの全員がこの成果を心から誇りに思っていい。僕にとってこれまで最高のシーズンだった。僕らは16回の表彰台を獲得したんだ。本当によくやったよ。
15 セバスチャン・ベッテル(レッドブル・レーシング) 決勝1位
ファンタスティックなレースだった。とてもいいスタートをしたが、ルイスの前には出られなかった。それでも彼にかなり接近できたので驚いた。ロングストレートではルイスはボタンを押して遠ざかって行ったけれど、それでも僕はぴったりくっついていくことができたんだ。僕らの方が少し重いのは分かっていたけれど、僕らは、特に最終セクターで、ずっと彼についていくことができた。今日のマシンは夢のように素晴らしかった。プレッシャーが大きくて、最初のピットストップでピットレーンの入り口でワイドになりそうになったし、ピット出口のトンネルはひやっとするような場所だったけれど、限界まで攻めて、ルイスの前に出ることができた。残念ながら彼はリタイアせざるをえなかったが、それまで彼は素晴らしいレースをしていたよね。その後僕は後ろのマークやジェンソンとの間に少しギャップを築き、自分のペースで走ることができた。マシンは最後まで素晴らしかった。どちらのタイヤコンパウンドでも最高に好調で、今夜このマシンに乗っていられてとても楽しかった。このシーズンを振り返ると言葉にならないよ。アップダウンがあったが、今はとても強力で、4回目の1-2フィニッシュを成し遂げることができた。チームにおめでとうと言いたい。彼らは本当に努力し続けてきたし、ファクトリーの方でもとても頑張ってくれていた。波に乗っているのに、シーズンが終わってしまうのが残念だよ。こんな風にいい結果でシーズンを終えることができて完璧だ。
16 ニコ・ロズベルグ(ウイリアムズ) 決勝9位
今日のレースは僕にとってすごくエキサイティングというわけではなかった。これ以上の結果を望めるようなペースはなかったんだ。チームがコンストラクターズ選手権6位の座を守れるよう、力になりたかったんだけどね。自分自身のことについては、ドライバーズ選手権7位のポジションは脅かされなかったし、今年のこの状況の中ではいい結果だったと思う。長いシーズンだった。この4年間頑張ってきたチームの全員に心から感謝したい。僕らは一緒に素晴らしい時を過ごしたね。
17 中嶋一貴(ウイリアムズ) 決勝13位
今日は1回ストップで走るのは楽ではなく、ファーストスティントはうまくいかなかったと思う。レース中盤にはトラフィックにより一層邪魔されたが、55周、頑張って走り続けること以外、何もやれることはなかった。でもいいバトルだったし、僕自身楽しめたよ。
20 エイドリアン・スーティル(フォース・インディア) 決勝17位
決勝スタートでタイヤに問題があって、思っていたよりも早くニューセットに換えなければならなかった。2ストップ戦略は正解で、レースはうまくいったけれど、目標としていたポイント獲得は実現できなかった。それでも今季はとてもいいシーズンだった。アップダウンが激しかったけれど、シーズンが始まってから終わるまでの間に僕らは大きく前進した。この進歩を心から誇りに思っていいと思う。
21 ビタントニオ・リウッツィ(フォース・インディア) 決勝15位
今日はマシンの力を最大限に引き出したと思うが、残念ながらレース序盤からブレーキのトラブルを抱え、順位争いをするのは無理だった。スタートの時はウイリアムズの後ろを走り、レース中盤にはトヨタの一台の後ろを走った。中団グループはかなり順位の変動があったね。序盤15周にソフトタイヤにトラブルがあり、オーバーステアがひどかったので、この結果が精いっぱいだったと思う。ポイントを獲るのが難しいことは分かっていた。最終戦で入賞したかったけれど、この5戦でいいパフォーマンスを見せられたので満足している。
22 ジェンソン・バトン(ブラウンGP) 決勝3位
レースを楽しめたし、最終戦で表彰台に上れて素晴らしい気分だった。今週末、ヤス・マリーナ・サーキットでのドライブを心からエンジョイしたよ。アブダビは初グランプリ開催のために素晴らしい仕事をしたね。僕らはレースではプライムタイヤの方がいいと予想していたけれど、路面温度が下がり始めると特に、バランスに苦しみ、フロントタイヤをウォームアップするのがさらに難しくなった。最後のスティントでソフトタイヤに換えるとマシンのフィーリングがとてもよくなった。がらっと変わって、突然フロントエンドがよくなり、よりスピードに乗ってコーナーに飛び込んでいくことができるようになった。最後の数周はとてもエキサイティングだったよ。マークから2位の座を奪おうとして全力を尽くした。でもオーバーテイクを成功させることはできなかった。彼は抜くのがとても難しいんだ。でもふたりとも限界まで攻めて、クリーンでいいバトルができた。2位になれなくて少しがっかりしているけれど、それでも表彰台を獲得できて嬉しい。ブラックレーのチームとメルセデス・ベンツ・ハイパフォーマンス・エンジンズの全員に心から感謝したい。本当に最高の一年だった。僕たちが共に成し遂げた結果を、彼ら全員に誇りに思ってほしい。とても熾烈で厳しいシーズンだっただけに、いい形で一年を締めくくることができてよかった。
23 ルーベンス・バリチェロ(ブラウンGP) 決勝4位
今日のレースはとても接戦だった。スタートはかなりエキサイティングで、ターン1でイン側に行ったら、運悪くマークと軽く接触し、フロントウイングのパーツが飛ばされてしまった。そのせいで序盤はダウンフォースが大幅に低下し、ジェンソンに抜かれたけれど、アンダーステアでもなんとかうまく走らせることができたので、ノーズは換えないことにして、可能な限りプッシュしていった。ミドルスティントではジェンソンより僕の方が速かったけれど、抜くのはかなり難しかった。同じマシンに乗ったチームメイトだからこそ余計にね。だから彼を抜ける術はなかった。それでも最初から最後までいいレースができたしとても楽しかったから、今日は4位でも満足すべきだね。本当に最高のシーズンだった。今年これほどまでにコンペティティブなマシンを用意してくれ、また勝利を狙えるポジションに復帰するチャンスを僕にくれたチームに感謝する。僕らは共に最高の一年を送ったね。