2011年F1第7戦カナダGPは現地時間12日午後1時からモントリオールのジル・ビルヌーブ・サーキットで70周の決勝レースが行われ、マクラーレンのジェンソン・バトンが今季初優勝を決めた。
激しい降雨のため赤旗一時中断となったレースは、現地時間午後3時50分からの再開がアナウンスされ、およそ2時間のインターバルを経て再度仕切り直しとなった。赤旗中断による25周目終了時点のトップ10はセバスチャン・ベッテル、小林可夢偉、フェリペ・マッサ、ニック・ハイドフェルド、ビタリー・ペトロフ、ポール・ディ・レスタ、マーク・ウエーバー、フェルナンド・アロンソ、ペドロ・デ・ラ・ロサ、バトンとなった。
各車はこの長い中断の間にタイヤ交換を実施。2番グリッドに並んだ可夢偉もレース再開時に義務づけられたエクストリームウエットタイヤを装着し、セーフティカー先導のもとスタートを切った。
10周のセーフティカーランの後、35周目から本格的なバトルがスタートすると、レース再開直後から各車はピットインしてタイヤをインターミディエイトに交換していく。しかし、8番手スタートのアロンソはコース復帰後の3コーナーでバトンとサイド・バイ・サイドの末に接触し、スピンオフしたアロンソはリタイアに追い込まれた。
レースはタイヤ交換後もベッテルが首位をキープ。マッサとの同時ピットインとなった可夢偉も2番手のポジションを守った。そんななか、ピットインの直後からペースを上げた12番手スタートのミハエル・シューマッハーがDRSの解禁された45周目には4番手に浮上。シューマッハーはその後も目覚ましいペースで周回を重ねると、51周目には可夢偉のミスから前2台との差を詰め、直後のへアピンで2台まとめてパスしていった。
これで上位はベッテル、シューマッハー、マッサ、可夢偉と変わるが、50周目以降からレースはドライタイヤでの勝負となり、そこから後続のバトンが猛烈な追い上げで55周目には可夢偉をパスして4番手に浮上する。一方、5番手に順位を落とした可夢偉はルノー勢にも迫られ、56周目の1コーナーでは立ち上がりの鈍った可夢偉のリヤにハイドフェルドが接触。脱落したフロントウイングに乗り上げたハイドフェルドはクラッシュし、レースはまたもセーフティカーが出動する。
61周からレースは再開するが、可夢偉はそこでもルノーのペトロフに抜かれ、6番手に後退する。一方、残り10周を切った上位争いは、先頭のベッテルに続く2番手争いが激化し、シューマッハー、ウエーバー、バトンがDRSを駆使して激しい攻防を展開する。しかし、この3台の争いはレースペースで群を抜くバトンが2番手を奪い、3番手ウエーバー、4番手シューマッハーと変わった。
だが、このまま終了するかと思われたレースは、バトンの驚異的な追い上げで残り5周からベッテルとのトップ争いが生まれ、69周目にはバトンが1秒以内まで接近。そして迎えたファイナルラップではベッテルが6コーナーでまさかのハーフスピンを喫し、バトンが大逆転でトップチェッカー。トータル4時間にも及んだレースを劇的なかたちで締めくくった。
バトンは今季初優勝。2位ベッテル、3位ウエーバー、4位シューマッハー、5位ペトロフ。最終ラップを6番手で迎えた可夢偉は、最後のホームストレートでマッサのDRSに屈し、結局7位でレースを終えた。