スペインGPでルーベンス・バリチェロが一時は優勝するかと見られながら2位に終わったことで、ブラウンGPはすでにバリチェロをナンバー2扱いしているのではないかとの推測が出てきている。
ポールポジションをチームメイトのジェンソン・バトンに奪われたバリチェロだが、レースでは素晴らしいスタートを決め、トップに立つ。最初のピットストップまで首位をキープしたバリチェロは、バトンが予定の3回ストップから2回ストップに変更したことで、リードを保つためにはより一層プッシュする必要に迫られることになった。しかし十分なマージンを稼げず、バリチェロは結局バトンに次ぐ2位に終わった。
「なぜ彼らがジェンソンの戦略を変更したのか分からない」とバリチェロ。
「ふたりとも3ストップだったんだ。彼が2ストップに変えたと聞いて、びっくりしたよ。レース前には、2台とも3ストップという合意ができていた。だから、僕の方がスティントが長かったのに僕は2ストップに変えなかったのが不思議だよ」
「その後は、自分の戦略をうまく機能させるために全開でいかなければならないと分かった。でも、3セット目のタイヤに手こずり、ジェンソンの前の位置を維持できるだけのラップタイムをたたき出すことができなかった。(序盤は)彼を引き離すだけのペースを出せていたので、(優勝は)決まったようはものだと思っていた。でも3回目のピットストップの後、突然タイヤがあまりよく機能しなくなった。彼が前に出た時にはすごくがっかりしたよ」
「ジェンソンにとってもチームにとっても今日は素晴らしい結果となった。最終的に自分の走りにもかなり満足している。ベストを尽くしたので、胸を張ってサーキットを後にできるよ。セッティングも素晴らしく、マシンのフィーリングもよかったけれど、戦略がうまくいかなかった。僕には選手権を勝ち取る能力があると信じているので、全力でプッシュしていくよ。今のところはすべてがジェンソンに有利に働いているが、僕はポジティブな人間だし、自分を信じ続けなければね。近いうちに僕も勝てるはずだよ」
ブラウンGPは早くもバトンのタイトル獲得に重点を置きつつあると思うかとの質問に対し、バリチェロはこう答えている。
「そうではないことを願っている。僕はもうひとりのドライバーを圧倒的にひいきするチームにいたことがある。ロス(・ブラウン)もそこにいたけれど、彼が僕をすごく気に入ってくれていることは知っている。だからこそ僕はこのチームでレースをしているんだ。こんなに素晴らしいマシンでレースをする機会を与えてくれたことに感謝しなければならないよね。僕にはレースに勝てる能力がある。今日の自分のパフォーマンスには満足すべきだ。まだ勝てていないのは残念だけれど、これからも頑張るよ」
チームプリンシパルのブラウンは、バリチェロが勝てなかったのはサードスティントのタイヤでペースが上がらなかったせいだと語っている。
「我々にとっては3回ストップの方が速かった。プライムのパフォーマンスが悪かったのでなおさらだ。ルーベンスは素晴らしいスタートで1周目からレースをリードした。我々はふたりのドライバーに、全力でプッシュして後続との差を広げるよう指示した。その時トップのルーベンスは極めて速く、彼にとっては3回ストップという戦略が最も速かったのだ」
「2セット目のオプションでとても遅くなったのは不可解だし、残念なことだった。そこは重要な場面であり、そのせいで彼はレースを失った。そこまでは彼の方がジェンソンより優勢だったのだ」
「ジェンソンを3ストップでいかせると、ロズベルグのすぐ後ろに出てしまうことが分かったので、そこで押さえられてしまうことを恐れて彼の戦略を変更した。だからジェンソンは2回ストップにしたが、本来なら3回の方がよかったと思う。(バリチェロの場合は)タイヤがうまく機能しなかったというだけの話だ。我々はルーベンスのために彼が勝てるような戦略を選んでいる」
「まだ選手権は始まったばかりだ。5戦を消化し、あと12戦残っているのだ。まだまだ先は長いので、ふたりはレースで競い合っている。序盤を見れば分かるとおりにね。彼らは自由に戦っていいんだ。ただひとつのルールは、“同士討ちは禁止”ということだけだ」