トロロッソは、レッドブルへと移籍したセバスチャン・ベッテルの抜けた穴が想像していたよりも大きいことを明らかにした。しかしながら、セバスチャン・ブエミへの期待は高く、ブエミならベッテルと同じだけの成功を収められると見ている。

 トロロッソは苦しいシーズン前半を終え、遅れていたSTR4の開発ペースを一気に進めるべく、次戦ハンガリーでマシンのアップデートを予定している(下記関連ニュースを参照)。

 車両の根幹的な部分に問題があると見られる一方で、テクニカルディレクターのジョルジョ・アスカネッリは、マシンのみならずドライバーも一部原因があるのではないかと考えている。昨シーズン後半で見せたチームの大きな進歩は、9月にモンツァで優勝を挙げたベッテルの影響があるとアスカネッリ。

「昨シーズン後半のことを言えば、ベッテルは素晴らしいドライバーだということだ。ドライバーの役割は重要で、昨年彼は大きく成長した。経験の少ないドライバーは、どうしてマシンが速くなったのか、または遅くなったのかが理解できない。ブエミのような若者には、マシンに変化を加えたときに、それに適応するのが難しい」
 ベッテルが昨年後半に成長し、トロロッソのエースとなったように、アスカネッリとチームプリンシパルのフランツ・トストは揃って、ブエミにはベッテルの軌跡をたどれるだけの才能があると見ている。

 噂されているようにイギリスF3チャンピオンのハイミ・アルグエルスアリが、セバスチャン・ブルデーの代役としてハンガリーGPを戦うこととなるならば、20歳のブエミの立場は“ベテラン”となり、マシン開発の責任を負うことになる。これについてアスカネッリ、トストともにブエミが冷静ににこの役目を果たすことができるとしている。

「ここまでの9戦のうち4戦は早い時間でのリタイアだった。しかもテストがなく、クルマに慣れる時間は非常に少ない。若いドライバーがF1に上がると向こう見ずでリスクのある走りをするが、理解を増して、いくつかの壁を越えると自信が形成されていく。
 我々は彼にこれ以上早く学ぶことは要求できない。彼はベストを尽くしていて、よい働きしている。ベッテルが来たときを思い出して欲しい。彼は1年間BMWのサードドライバーを務め、さらには1戦経験済みでチームに加入した。それでもトロロッソでの彼の初めてのレース、ハンガリーでは予選18番手にしか入れなかった」

「ブエミはここまで非常によくやっている」とトストも認める。「彼はルーキーであることを忘れてはならない。彼は今季のテスト禁止の犠牲者なんだ。シルバーストンやニュルブルクリンクのようなサーキットでF1を一度も走らせたことがなかったのだ。F3やGP2で経験したコースだって、複雑で繊細なF1では同じようにいかない。また、例えば、金曜日の3回目のプラクティスから土曜日のプラクティス、そして予選までのトラックコンディションの変化などは経験のみが頼りとなる部分でもある」

「これまで最低限の3日間のテストをシルバーストンでイギリスGP前に行った。あとはレースごとのスケジュールでの走行だ。しかしこれだけでは十分ではない。テストで予算は削減できるが、若い選手は苦しむことになる。ブエミは2010年には完成したドライバーになるだろうと我々は思っている」

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