メルセデスのルイス・ハミルトンは、2017年F1の規則変更の方向性は間違っているとの考えを示し、F1上層部は問題点を理解していないと批判した。
F1のショー的要素の向上についてF1ストラテジーグループが協議した結果、昨年5月、FIAは2017年F1に「より速いマシン」の導入を目指し「空力規則の進化、よりワイドなタイヤ、マシン重量の削減により、ラップタイムを5秒から6秒縮める」ことで合意したと発表した。
その後、FIAはチームに対しF1の速度を向上させるための提案を募集、11月末には、ウイリアムズのチーフテクニカルオフィサー、パット・シモンズが、話し合いのなかでボディワークと寸法を規定するF1テクニカルレギュレーション第3条の変更に関して大筋で合意がなされ、タイヤのワイド化と共にディフューザーとフロントウイングを大きくする見込みであると発言している。
シモンズは、FIAが求める速さとルックスの向上はこの規則変更案で成し遂げることができると自信を見せているが、オーバーテイクのしにくさは課題であると認めている。
「ダウンフォースをつければ、後ろのマシンは前のマシンにより近づきにくくなる。そしてこのマシンはダウンフォースが増えている」とシモンズは語った。
ハミルトンも、オーバーテイクのしづらさに関して懸念を示し、2017年の規則変更案のコンセプトは間違っていると主張した。
「何かを変える必要があるのは明らかだ。F1にはかなり長いこと変化がないからね」とハミルトンはSky Sportsのインタビューにおいて語った。
「(2017年に)エアロを向上させることを彼ら(F1上層部)が検討しているけど、僕に言わせればそれは最悪のアイデアだ。解決すべき問題点を彼らはちゃんと理解していないってことが分かる」
「ドライバーとして意見を言うと、タイヤから得るグリップを増やしてほしい。(前を走る)マシンが発生する乱気流を減らして、もっと接近できるようにしたいんだ」
ただし、この問題を解決するのは簡単ではないともハミルトンは認めている。
「誰かとバトルをしているとする。前のドライバーが誰であれ、彼は空力的に100パーセントのポテンシャルを持って走っている。でも後ろのドライバーは、前のマシンに近づくとポテンシャルが低下する。追いつきつつある時に持っていたアドバンテージが、前のマシンに近づくにつれて消えてしまう。そんなこと、あってはならない」とハミルトンが語ったとF1iが伝えた。
「僕らに必要なのは優れたタイヤだ。タイヤからのグリップ、メカニカルグリップを向上させる必要がある。タービュランスを減らさなければならない。それが可能なのかどうかは分からないけど」