マクラーレンのスポーティングディレクターであるサム・マイケルは、ドイツGPで周回後れだったルイス・ハミルトンが首位争いをしていたセバスチャン・ベッテルを追い抜いたのは規則違反ではないと主張した。レッドブル・レーシングもそれを認めている。
ハミルトンはレース序盤にパンクした影響で後方に下がったが、その後のペースはよかった。レース中盤、ピットアウトした際、ハミルトンはトップ勢から周回後れとなっていたが、素晴らしいペースを発揮し、首位のフェルナンド・アロンソを追いかけているベッテルをオーバーテイクし、アロンソをも追い回した。
レース後、ベッテルはハミルトンが優勝争いの邪魔をしたとして非難したが、マクラーレンチームは、ハミルトンの行為は合法であり、チームの指示だったと語った。その時、ハミルトンとベッテルの数秒後ろをマクラーレンのジェンソン・バトンが走っていた。
サム・マイケルは、ベッテルを抜くようチームがハミルトンに指示したと語った。
「あれは完全に規則の範囲内の行為だ。コースに戻った時、彼は速かった。我々は彼に、ジェンソンが来るからブルーフラッグを受けるぞ、と言った」
「ブルーフラッグを受けるとき、ふたつの選択肢がある。後ろのマシンを前に行かせるか、自分が大幅にペースを上げるかだ」
「だから我々は、ペースを上げてベッテルを追い抜けと指示し、彼はそのとおりにした。彼はベッテルを全く押さえつけてなどいない。ベッテルはついてこられなかったからね。だからベッテルのレースに大きな影響はないし、完全に規則の範囲内だ」
レッドブル・レーシングのチームプリンシパル、クリスチャン・ホーナーは、ハミルトンの行為がベッテルの優勝争いの邪魔になったと不満を表しながらも、その行為を禁じる規則はないと認めた。
「規則を見ると、周回後れのマシンがリーダーたちをオーバーテイクしてはならないとは書かれていない。あれによって我々が1秒ロスしたのは悔しい。しかもハミルトンがフェルナンドは抜かなかったのも残念だった」
「フェルナンドも抜いていれば、彼も1秒をロスしたから、我々の不利が帳消しになったのだが。だがハミルトンにはああする権利があった」
ホーナーは、ベッテルがレース後、ハミルトンの行為は「ばかげている」と激しく非難したことに関し弁護した。
「(発言したのは)ドライバーたちの感情が高まっていた時だ。セブが言いたかったのは、あれが彼のレースに影響したということだ。だが規則違反ではないから、ハミルトンは何も悪いことはせずにチームメイトを助けたということになる」