IZODインディカー・シリーズ最終戦ラスベガスで、12周目に発生した多重クラッシュでレースが赤旗中断となったため、自動的にランキング首位につけていたダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ)が今季のチャンピオンに決定したが、親友ダン・ウェルドンの死に「言葉も出ない」と悲しみをあらわにした。
今季のインディカー・シリーズチャンピオンをウィル・パワー(ペンスキー)と争っていたフランキッティは、2003年から2005年までアンドレッティ・グリーンでチームメイトとして戦い、その後ウェルドンがチップ・ガナッシに移籍。09年にウェルドンがガナッシから移籍すると、その席にはフランキッティが座ることとなった。
そんなフランキッティは、18ポイント差で今回の最終戦をリードして迎えていたが、12周目のクラッシュでウェルドンの他にもライバルだったパワーが巻き込まれ、赤旗中止となった時点でフランキッティのタイトルが決まった。
その後、チャンピオンとして記者会見に臨んだフランキッティは、目に涙を浮かべ「ついさっき、スタート前に冗談を言い合っていたんだ。そして今、ダンはいない」と悲痛な表情で親友ウェルドンを悼んだ。
「今日、ダンの息子に、『僕らは小さい頃からの知り合いだったんだよ。そして昔はチームメイトだったんだ』と話したばかりだ。僕らは別のキャリアを歩むときもあったけど、ずっと親友だった。みんなダンを友達と思っていたし、インディカーにデビューした頃は生意気に思われていた頃もあったけど、ダンは人気者だった。でも僕らは、彼を失った。言葉も出ない」
「ダンの妻、スージーと息子たちのことを思うと苦しい」
フランキッティは、チャンピオンを獲得した実感はあったのかという質問に対し、「いや。ない」と単純に答えた。
「でも、ファンの皆さんには感謝しなければならない。事故の後、ダンに対して僕らが5周に渡って祈りを捧げた時間を、ファンの皆さんは共有してくれた。これは素晴らしいことだった」
「本当に、本当に悲しいよ。これは僕たちの携わるスポーツの醜い一面だ」