August 08 2010
IZOD IndyCar Series Honda Indy 200 presented by Westfield Insurance
2010年8月8日(日)
決勝
会場:ミッドオハイオ・スポーツカー・コース
天候:晴れ
気温:29~30℃
ダリオ・フランキッティが逆転で今シーズン2勝目
武藤英紀は18位、佐藤琢磨は一時2位を走行するもリタイア
2010年IZODインディカー・シリーズ第12戦Hondaインディ200がオハイオ州のミッドオハイオ・スポーツカー・コースで開催された。コーナーが多くテクニカルな全長2.258マイルのサーキットを85周して争われるレースだ。
午後3時過ぎのスタート直前、多くのファンが陣取ってカラフルに彩られたコース上空を、2012年にデリバリー開始予定の7人乗りジェット機「Hondaジェット」が飛行した。公の場でHondaジェットがデモフライトをするのは今回が初めてのことである。そして、27台のインディカーは熱心なファンが見守る中、バックストレッチでローリングスタートを切った。
ポイントリーダーのウィル・パワー(Team Penske)は、今シーズン6回目のポールポジションから見事な加速を見せてトップをキープした。しかし、25周目に行われたフルコースコーション中のピットストップ1回目、ダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)がクルーたちのすばやい作業によってパワーの前に出た。この直前にピットストップを済ませていたアレックス・タグリアーニ(FAZZT Race Team)が一時トップへ浮上したが、彼は2回目のピットストップを早めに行った影響で、ポジションを4位まで下げた。
タグリアーニがピットに向かったことでレースリーダーとなったフランキッティは、パワーの執拗なアタックを退け続けて、今シーズン2勝目、キャリア15勝目を記録した。パワーは最後までフランキッティに食い下がり、インディカーのロードレース史上3番目の僅差となる0.5234秒差の2位でゴールした。パワーは今回の2位入賞により、今シーズンのロードコース王者に決定。マリオ・アンドレッティ・トロフィの初代ウイナーとなった。
3位は予選6番手だったエリオ・カストロネベス(Team Penske)がつけ、今シーズン3回目のトップ3入りを達成。ランキングも6位から5位へと1つ上げることに成功した。予選14番手だったタグリアーニは、絶妙なピットタイミングで4位という好結果を手中に収めた。そして、ポイントランキング3位につけているスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)は5位、同4位につけるライアン・ブリスコー(Team Penske)が6位でのゴールとなった。
スイス人女性ルーキーのシモーナ・デ・シルベストロ(HVM Racing)は、これまでもロードコースですばらしい走りを見せてきていたが、ミッドオハイオでついに8位フィニッシュという見事な成績を記録した。予選で10番手に食い込んだ彼女は、レースを通して高いパフォーマンスを見せ続けた。
武藤英紀(Newman/Haas Racing)は予選12番手から、序盤はそのポジションを守って12位を走り続けていた。しかし、1回目のピットストップでタイヤ交換に時間がかかり、17位まで後退。2回目のピットストップではクラッチトラブルでエンジンストールし、19位までさらに後退。ゴール前の2周で前方のマシンをパスし、18位でゴールした。
予選3番手に入り、決勝での活躍が期待されていた佐藤琢磨(KV Racing Technology)は、1回目のピットストップ直後にコースオフしてリタイアとなった。グリッド2列目から見事なスタートを見せた佐藤はフランキッティをパスして2位へと浮上。そのポジションはフランキッティに取り返されたが、序盤はパワー、フランキッティの2人を追う3位を走り続けて1回目のピットストップを迎えた。ここでKV Racing Technologyは給油に長い時間がかかり、佐藤のポジションを11位まで下げてしまった。
29周目にリスタートが切られた直後、佐藤はバックストレッチエンドの右コーナーでディクソンにアタックした。しかし、飛び込んだインサイドは路面が荒れていてグリップが低く、佐藤はコースアウトしてタイヤバリアに突っ込み、フロントウイングとサスペンションを破損。リタイアを余儀なくされた。
第11戦終了時点でポイント2位につけていたフランキッティが勝利したことにより、ポイントリーダーのパワーとの差は50点から41点に縮まった。ポイント3位にはディクソン、ポイント4位にはブリスコーがつけている。
コメント
ダリオ・フランキッティ(優勝)
「今日の勝負で鍵を握っていたのはピットストップだった。我々、Chip Ganassi Racingのクルーたちは、すばらしい速さで1回目のピット作業を完了させてくれ、私は2位から1位に躍り出た。マシンのハンドリングも最高で、ゴールまでトップを守り抜くことができた。Chip Ganassi Racingは私を含めたチーム全員が今年もチャンピオンになりたいと考えている。今後も我々は力を合わせ、持てる能力のすべてを発揮してパワーにプレッシャーをかけ続けていきたい」
ウィル・パワー(2位)
「マリオ・アンドレッティ・トロフィの初代ウイナーとなれたことは大きな名誉だ。これからは年間チャンピオンにもなれるよう全力を尽くす。我々はシーズンのスタートからそれを目標にがんばってきている。ピットストップでフランキッティの先行を許したのは、彼らのクルーがすばらしかったからだ。燃料補給を少なくしたのかとも考えたが、どうやらそうではなかったようだ。レース終盤のスピードでは私が勝っていたが、オーバーテイクを完成させるだけのスピード差はなかった。彼のミスを誘うためにプレッシャーをかけ続けたけれど、それは実現しなかった」
エリオ・カストロネベス(3位)
「序盤のマシンはアンダーステアが強く、ドライビングは大変だった。そこで燃費セーブに切り替えたのだが、前車とのタイム差が広がっていったのでペースを上げることに、再度作戦変更を行った。すると、私のマシンはハンドリングが見違えるようによくなっていた。その上、1回目のピットストップが我々は非常に速く、レースが再開されてからはチームメートのブリスコーをパスすることができた。目の前はチームメートでポイントリーダーのパワーだったから、無理なアタックができる状況ではなかった。今日は3位でのゴールで十分にハッピーだ」
武藤英紀(18位)
「1回目のピットストップではタイヤ交換でミスがあり、2回目のピットストップではクラッチがなくなっていたためにエンジンストールをしてしまいました。第2戦セントピータースバーグのときとは症状の異なるクラッチトラブルでした。シーズン中盤に入ってからのロードレースでも問題は出ていなかったし、今週末もクラッチにトラブルの兆候は一切見られませんでした。それが突然決勝レースで出ていました。今日のマシンのハンドリングは上々で、ずっといいペースで走り続けることができていました。レースの内容は決して悪くなかったのに、ピットで順位を大きく落としたのは残念でした。次のレースが行われるインフィニオン・レースウェイは、昨年いい結果を出しているコースですから、今回以上の戦いができると思います」
佐藤琢磨(25位)
「レースの序盤は3位を保ち、トップを走るパワーに引き離されることもなく、燃費セーブモードでもいいラップタイムで走り続けることができていました。しかし、1回目のピットストップで給油に時間がかかり、一気に11位まで順位が落ちてしまいました。それをコース上でばん回しなくてはならないと考えてリスタートを迎え、バックストレッチでディクソンのイン側へサイド・バイ・サイドまで並びかけたのですが、イン側の路面はグリップが低く、止まりきれずにコースアウトを喫してしまいました。本当に悔しい結果です。しかし、決勝スタートからトップコンテンダーと互角に走り、ラップタイムや燃費などの面でもいいレースを戦えました。多くの収穫を得られたレースなので、次のインフィニオン・レースウェイではまたトップグループのバトルに加わりたいと思います」
エリック・バークマン|HPD 社長
「ミッドオハイオ・スポーツカー・コースでのHondaインディ200は、ドライバーもファンも大好きなレースだ。今年も多くのファンがサーキットに集まり、好天の下でエキサイティングなレースを観戦していた。2010年シーズンも終盤に入っているが、フランキッティが優勝したことで、ポイントリーダーであるパワーとのポイント差が縮まった。今シーズンもタイトル争いは本当にし烈で、残る5レースでも激しい戦いが変わらずに続けられることだろう。Hondaは昨日、2012年以降のインディカー・シリーズに参戦を続けることを発表した。新しいエンジンレギュレーションに沿って、2.4リッターV6ツインターボエンジンを投入する。Hondaがインディカー・シリーズに引き続き出場できることを楽しみにしている」
