復活したマクラーレン・ホンダの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レースごとに、週末のマクラーレン・ホンダのコース内外の活躍を批評します。開幕戦と同じ11位で終えた第4戦バーレーンGPのホンダの戦いぶりを、ふたつの視点でジャッジ。
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甘口編
中身の違う11位完走。トラブルに見えた可能性
4戦目にして、ホンダが初めてQ1を突破した。たしかにバーレーンGPの予選ではレッドブルのダニール・クビアトが原因不明の不具合によりペースが上がらず、ロータスのパストール・マルドナドはブレーキのトラブルでマノー・マルシアの2台とともにQ1落ちし、ホンダにとって有利な展開となったことは事実である。
しかし、ホンダのQ1の順位はQ2突破ギリギリとなる15番手ではない。フェルナンド・アロンソがQ1で記録した1分35秒205は9番手となるタイムだった。予選直前のフリー走行3回目ではジェンソン・バトンは、そのアロンソよりコンマ4秒速いタイムを記録していたから、もしバトンが予選でタイムアタックができていれば、2台そろってQ2へ進出した可能性は高い。
レースではウイリアムズ、レッドブル、ロータスにオーバーテイクを許したが、ザウバー、フォース・インディア、トロロッソとはほぼ互角のペースで走っていた。11位という成績は順位だけを見れば開幕戦と同じだが、オーストラリアGPが完走11台中11位だったのに対して、バーレーンGPでは17台が完走した中での11位。しかも、オーストラリアでは10位から1周遅れだったのが、バーレーンでは3.9秒差の10位。
「もう少し早くプッシュさせることができていれば……」(ホンダ新井康久F1総責任者)と、ポイント獲得まで、あと一歩という走りだった。ザウバーはフェラーリ、フォース・インディアはメルセデス、トロロッソはルノーのそれぞれカスタマーチーム。開幕から4戦で中団グルーブの中でレースができるようになったことは、5月から始まるヨーロッパラウンドに向けて非常に楽しみである。
ただし、「バーレーンではトラブルが多すぎた。ここから3週間でどれだけ改善できるかが重要」とアロンソが指摘するように、信頼面で課題が残ったこともたしかである。特にバトンは金曜日から毎日トラブルに見舞われ、まともに走ることができなかった。
だが、バーレーンでトラブルに見舞われたのはホンダだけではない。レッドブルはファイナルラップでリカルドのマシンが白煙を吹きあげながらフィニッシュ。トロロッソは2台ともリタイアしている。そして、このトラブルにこそ、ホンダの可能性が垣間見えた。
バトンのトラブルは原因はまだ公表されていないが、現象としては電気系の不具合である。開幕戦のレース直前に止まったケビン・マグヌッセンのパワーユニットはその後、エンジン、ターボ、MGU-Hを交換。マレーシアGPでリタイアしたアロンソはERSに、そしてバトンはターボのトラブルだった。そして、今回は電気系である。つまり、ホンダは同じトラブルをほとんど発生させていない。
トラブルがいまだに出るのは、ウインターテストで走り込みができなかったため。アロンソも「序盤戦はテストのつもりでレースを戦うから、順位よりも完走することが大切だ」と語っている。
したがって、ホンダはトラブルが出たことを反省するのではなく、出たトラブルをいかに分析し、改善するかが重要なのである。そこが1年間戦っているにもかかわらず、いまだにトラブルが出続けているルノーと根本的に異なるところだ。レッドブルやトロロッソのようなパワーユニットへ対する批判が、マクラーレンから聞こえてこないのも、そのためである。
日曜日のレース直前、必死にバトンのマシンを修復しているときでさえ、マクラーレンとホンダのスタッフは言い争いなどすることなく、黙々と作業を続けていた。そこには、ホンダに対する信頼とリスペクトが感じられた。雨降って地固まる。バーレーンGPがそういうグランプリになってくれることを願っている。
辛口編はF1速報有料サイト(http://f1sokuho.mopita.com/free/index.php?f=asweb)でご覧下さい。