復活したマクラーレン・ホンダの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レースごとに、週末のマクラーレン・ホンダのコース内外の活躍を批評します。今回はフェルナンド・アロンソのパワーユニットにトラブルが多発したブラジルGPを、ふたつの視点でジャッジ。

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甘口編
無駄にはなっていないチャレンジ

 標高が高く、ターボチャージャーとMGU-Hの性能が一層問われるメキシコGPを除けば、デプロイメントの心配があまりないアメリカGPとブラジルGPは、ホンダにとって楽しみにしていたグランプリだった。現にアメリカGPでは序盤がウエットコンディションだったこともあり、レースでは2台そろって入賞圏内を走行していた。

 しかし、レース終盤にフェルナンド・アロンソのパワーユニットにデータ上、燃料系(インジェクター)の不具合が発見され、出力が落ちてペースダウンせざるを得ず、11位に終わった。メキシコGPではレース前に回転センサーのトラブルに見舞われ1周目にリタイア。アメリカGPで走ったパワーユニットで臨んだブラジルGPのフリー走行ではエンジンから炎を吹き出してストップ。メキシコGPで使用したパワーユニットに交換して臨んだ予選では、突然水温が上昇したために、ピットからの指示でアロンソはタイムアタックを中止し、マシンをコース脇に止めた。

 トラブルが多発したことだけを見れば、ブラジルGPでのホンダに明るい材料はない。イギリスのメディアからも「スペック4になっても、まだ信頼性に問題が出ている状況をどう思うか?」と厳しい質問が新井康久総責任者に浴びせられていた。その件に関しては、「我々の実力が足りていない」と新井総責任者は素直に実力不足を認めていた。

 だが、同じスペック4のパワーユニットでもジェンソン・バトンのほうにはまったく問題が起きていない。また、予選後にレースへ向けてアロンソのマシンに搭載した新しいパワーユニットもスペック4だったが、問題を発生させることなく完走している。問題が起きた2基のパワーユニットは現在、さくらの研究所へ送り返されて、さまざまな解析が行われている。その原因はまだ明らかにされていないが、バトンのパワーユニットにも、そして日曜日のアロンソのパワーユニットにも問題が起きていないことを考えると、スペック4として新しくなったパーツの一部に製造上の問題があった可能性が高い。

 それではなぜ、アメリカGP、メキシコGP、ブラジルGPとアロンソのパワーユニットにだけトラブルが連発したのか。それはこの2基はすべてロシアGPのフリー走行時に一旦走らせて、プールしておいたパワーユニットだった。ロシアGPではアロンソの分しか間に合わず、バトンがスペック4を走らせたのはメキシコGPだった。もし、アロンソのパワーユニットのトラブルの原因が、本当に製造上の問題だったとすれば、それは根本的な問題というより、なんらかの人為的ミスを犯していた可能性が考えれる。

 もし、仮にそうだとしても、そのチャレンジは無駄にはなっていない。ロシアGPで出力がアップしていることが確認できたからこそ、メキシコGPに向けてホンダはバトン用のパワーユニットの準備に取り掛かることができたからだ。
 ブラジルGPではルノーが11ものトークンを使用してきたにもかかわらず、そのパワーユニットを試したレッドブルのリカルドは「馬力向上が確認できなかった」とコメントしている。

 トークンを使用しても性能向上が確認できないパワーユニットより、性能向上できたのに、急いで作ってしまったために問題が起きたパワーユニットのほうが可能性はある。51周目にユーズドのソフトタイヤに交換したバトンと、52周目ユーズドのソフトタイヤに交換したリカルド。ふたりがその後叩き出した自己ベストタイムは、ともに1分16秒3だった。まだまだメルセデスという頂点までは遠いが、確実に前進していることを実感できたブラジルGPだった。

ホンダコラム 辛口編:苦しみの種は尽きない
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