復活したマクラーレン・ホンダの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レースごとに、週末のマクラーレン・ホンダのコース内外の活躍を批評します。今回は新生マクラーレン・ホンダとしてシーズン初ポイントを獲得した第6戦モナコGPを、ふたつの視点でジャッジ。

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甘口編
新生マクラーレン・ホンダ初入賞
目指す頂上へ、自分たちの信じる道を再確認

 マクラーレン・ホンダのスタッフが今シーズンたびたび口にしてきた表現がある。それは、F1という戦いを登山にたとえた比喩だ。
「われわれが登ろうとしている山は世界一高く、その道はまだだれもチャレンジしたことがない険しいものだ。だから、進むには忍耐が必要だ」(ロン・デニス/開幕前)
「われわれの目の前には登るべき山があり、それはかなり険しいですが、必ず登ってみせます」(エリック・ブーリエ/バーレーンGP後)

 山登りでもっとも難しいことは、どのルートを選択するかだ。なぜなら一度、山を登り始めると、その道がどこへ続いているのか把握しづらい状況となるからだ。メルセデスAMGのように、昨年頂点を極めた者は同じ道を歩めばいいが、ほかのチームはメルセデスAMGと同じルートで登山をしても、メルセデスAMGを追い越せはしない。メルセデスAMGよりも早く頂点へ到達するには、独自のルートを開拓しなくてはならない。

 しかし、そのルートが正しい道かどうかは、頂点にたどりつかないとわからない。しかも、今シーズン、新たにコンビを組むことになったマクラーレン・ホンダには昨年登った道はないので、現在登っているペースがいいのか悪いのかさえ、つかみづらい状況である。

 もちろん、マクラーレン・ホンダのスタッフに疑念はない。「自分たちが選択した道は間違いない」と皆、信じている。それでも、人間であれば結果が出ないと不安になるのは当然である。不安になれば、士気が下がる。これが勝ち続けるチームとなかなか勝てないチームの差が大きくなる理由だ。

 勝負の世界で何よりも大切なことが、結果だというのもそういった理由からである。そして、その結果をホンダはモナコGPで手にした。ジェンソン・バトンが8位に入賞したのである。

「入賞はしましたが、それ(8位)はわれわれがいるべき場所でもなければ、そこを目指しているわけでもない。いまはただスタートラインにようやく立つことができたという感じです」と新井総責任者が語るように、今回の8位入賞は通過点にすぎない。しかし、頂上までの間にあるいくつかの関門のうちの1つを突破したことは、手探り状態で山登りを開始したマクラーレン・ホンダにとって、何よりもうれしい道しるべになったことだろう。

 つまり、ウインターテストから登り続けてきた道は間違ってはいなかったという自信を深めることができたという点で、バトンの8位4点という結果は、マクラーレン・ホンダのスタッフにとって、小さいけれど大きな一歩となったのである。それは、新井総責任者のレース後のコメントにもにじみ出ていた。

「われわれのパワーユニットの思想、マクラーレン・ホンダとしてのパッケージ、制御の考え方など、いずれも間違っているとは思っていない。戦闘力は確実に上がってきているので、残されたレースで、さらにパワーアップしたい」
 いまマクラーレン・ホンダのスタッフたちの視界の先には、頂上が見えているのかもしれない。

ホンダ辛口評価編:祝っている場合じゃない
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