2009年F1第2戦マレーシアGPの決勝が終了し、表彰台に上った3人のドライバー、ジェンソン・バトン、ニック・ハイドフェルド、ティモ・グロックをはじめ、各ドライバーたちが、それぞれのレースについて語った。

2009年F1第2戦マレーシアGP日曜日ドライバーズコメント

1 ルイス・ハミルトン(マクラーレン) 決勝7位
雨が降ってからは、クルマを走らせるのは不可能な状態だった。常にアクアプレーニングに見舞われ、僕がこれまでレースで経験した中で最も危険な状態だった。僕にできるのは、コースアウトしないように努めることだけだった。誰にとってもあまりにも危険な状態だったから、レースを中止するというのは正しい判断だった。雨の中走るのは好きだけど、今日のコンディションはあまりにひどすぎたよ。

2 ヘイキ・コバライネン(マクラーレン) 決勝リタイア
スタートはよかったんだ。かなり慎重にいって、ルイスの後ろのポジションに入り込もうとしていたら、リヤが流れてスピンアウトしてしまった。自分のミスでレースが終わってしまった。

3 フェリペ・マッサ(フェラーリ) 決勝9位
大混乱のレースだった。こういったコンディションでは、後から間違っていると分かる決断を下してしまいがちだ。レインタイヤを履いた時には、すぐに激しい雨が降ると思っていたのだが、あいにく小雨にとどまった。それでまたピットに戻ってインターミディエイトに換えたら、その後すぐに土砂降りになった。なんとか入賞圏内に入れたかもしれなかっただけに残念だ。自分たちのミスを分析し、どうすればそれを避けられるのかを理解することが、僕らには絶対に必要だ。といっても、常に感情的になっている傍観者たちが求めるような改革が必要だとは思っていない。僕らが突然愚かになったというわけではないのだから、改革するというのは間違っていると思う。この戦いの場が変化したのだ。僕らはそれを認識し、異なるアプローチで状況に取り組む必要がある。

4 キミ・ライコネン(フェラーリ) 決勝14位
1回目のピットストップのころにはいいポジションにいた。でもその時僕らはミスを犯したんだ。雨がまだ降っていないというのにレインタイヤを装着してしまった。その時点で僕のレースが終わってしまったも同然だ。レースが中断された時は、とても難しいコンディションだった。コースは水浸しで、2速でもマシンを走らせるのが難しかった。このシーズンスタートに僕らはもちろん満足することはできない。メルボルンでは僕がミスをし、今日はチームがミスをした。そして僕らはノーポイントという結果に終わったんだ。

5 ロバート・クビカ(BMWザウバー) 決勝リタイア
フォーメイションラップをスタートした時、エンジンから異音が聞こえてきて、パワーがほとんどなくなった。レースをスタートし、そんな状態では難しかったけれど、走り続けた。チームにどうすべきか指示を仰いだが、答えが戻ってくる前にマシンから火が出て止まらざるをえなかった。

6 ニック・ハイドフェルド(BMWザウバー) 決勝2位
10番手スタートで2位を獲得することができて、もちろんすごくハッピーだ。今日のレースは強烈な、かなり厳しいレースだった。スタートはうまくいったが、燃料をたくさん積んでいたので、楽なレースではなかった。もうじき雨が降るということが分かった時、予定より7周早くピットインして、フルレインタイヤでいくという決断をした。でも激しい雨にならなかったので、タイヤはすぐにだめになってしまった。チームに“そのまま走り続けろ。雨が激しくなるはずだから”と言われ続けたが、タイヤはほとんどスリックのようになってしまった。その間インターミディエイトを履いていたら、かなり速かったと思うけど、そんなことは誰にも分かりようがないよね。結局土砂降りになって、そこでレース終了になったが、それは正しい判断だった。マシンを走らせることなど全く不可能だったからね。タイヤだけでなくアンダーフロアにもアクアプレーニングが発生して、セーフティカーの後ろでスピンしてしまった。開幕2戦を終えて、少なくともひとつはきちんとした結果を持ち帰ることができて、チームのために嬉しく思っている。

7 フェルナンド・アロンソ(ルノー) 決勝11位
いいスタートをして、9番手から3番手にポジションを上げた。その後は、僕らは遅かったので、ポジションを守るべく防戦のレースをしなければならなかった。そのあたりのレースは面白かったよ。激しい雨がいつ降り出すのか分からなかったので、ピットストップした時のタイヤ選択は難しかった。上海での次のレースに向けて、僕らは楽観的な気持ちを失っていない。選手権を戦い続けるという決意は依然として固い。

8 ネルソン・ピケ(ルノー) 決勝13位
赤旗が出る直前は、マシンを走らせられる状態ではなかった。マシンをコントロールするのが本当に難しかったよ。なんとか正しいタイミングで正しい選択をしようとしたけれど、こんなコンディションではこれ以上やれることはない。マシンバランスはよかったが、コースのグリップがとても低かった。それでもスタートはうまくやれたけどね。今週末も僕らは多くのことを学べた。もう次のレースに向けて準備しなければね。

9 ヤルノ・トゥルーリ(トヨタ) 決勝4位
チームのために嬉しいよ。今週末僕自身は少しアンラッキーだったと感じている。コンマ1秒差でポールポジションを逃し、もっといい結果を手に入れられる可能性もあったのに、それができなかった。いいレースで、かなりいろんな出来事があったね。僕は上位でプッシュし、ロズベルグとリードを争った。実際には僕はトラクションがよくなかったんだが、それでもかなり接戦だった。その後雨が降り、チームはヘビーウエットでいくという選択をした。そっちの方が標準的な戦略だったんだ。ヘビーウエットでは僕は最速だったけれど、2周でタイヤがだめになってしまった。ティモはそのころインターミディエイトを履いていて、それが彼に有利に働いた。僕はちょっとついていなかったけれど、戦略というものは後から考えれば簡単に思えるものだし、誰も責めるつもりはない。表彰台を逃したのは悔しいが、チーム全体を考えれば、今回もとてもいい結果が出せてよかった。

10 ティモ・グロック(トヨタ) 決勝3位
また表彰台に上れて最高の気分だよ。チームの皆のためにとても喜んでいる。かなりトリッキーなレースだった。3番手からスタートして、1周目の終わりには8番手になっていた。ドライコンディションでは前のドライバーたちの後ろで苦しいレースをすることになったが、その後、インターミディエイトタイヤを履くという正しい判断をした。リスクを冒してみようと僕が言ったんだ。雨が降り出すまでずいぶん時間がかかった。他のドライバーたちが何をしているのか、僕にははっきりは分からなかった。彼らはウエットで苦しんでいたが、僕はすごく速かったので、大幅にポジションを上げられた。雨が降り出した時、もうタイヤがダメになっていたので、ヘビーウエットに履き替えなければならなかった。タイヤを換えても好調だったが、あいにく最後から1周前のラップの順位が採用されることになった。そうでなければ僕は2位だったのにね。赤旗が出た時、僕は2位を走っていたんだ。それでもこの結果には満足しているよ。

11 セバスチャン・ブルデー(トロロッソ) 決勝10位
18周あたりで、燃料が軽くなってきていたので、最初のスティントが終わる前に雨が降ってくれればいいのにと思っていた。でも間に合わず、激しい雨が降ることを期待して、僕らはギャンブルでエクストリームウエットを装着した。でも逆に小降りになってきたので、インターミディエイトに履き換えた。そしたら雨が本格的に降り始め、またエクストリームに換えなければならず、その後、レースは中止となった。こういうとても不安定なコンディションで僕らはかなりコンペティティブだったと思うので、残念だよ。僕としては再スタートしたかった。ハーフポイントにしても、何ポイントか獲得できるチャンスがあったかもしれないからね。

12 セバスチャン・ブエミ(トロロッソ) 決勝16位
とても好調にいっていて、僕は7位か8位を走っていたと思う。予定では次の周にピットインすることになっていたんだが、ターン5でコースアウトしてしまった。エクストリームウエットが完全に終わってしまっていて、スリックで走っているような感じだったので、スピードを落としたのだけれど、水の量がすごくて、スピードの落とし方が十分じゃなかったようだ。僕はスピンし、グラベルにはまり、ストールした。ある段階では速さを発揮することができ、トップ6のタイムで走っていた。ただ、ノーズ交換のためにピットインしなければならなかったから、最後尾を走ってはいたけれどね。最終コーナー出口でフォース・インディアのどちらかに押し出され、何かを乗り越えてフロントウイングを壊してしまったんだ。最後のスピンは自分のミスなので、がっかりしている。今日のような日には何ポイントか取れたに違いないのに。

14 マーク・ウエーバー(レッドブル・レーシング) 決勝6位
彼らはレースを中止するという最良の判断を下してくれた。あと何周か走れて、表彰台をゲットするチャンスをつかめていたら素晴らしかっただろうが、実際はこういうことになった。複雑な気持ちだよ。今(午後7時)はもう暗くなってしまったから、リスタートしないという判断は正しかった。今日こういう状況になったことを、時間帯のせいにしていいのかどうかは確信がもてない。午後3時も天候は悪かったわけだから。こういう日もあるということじゃないかな。マレーシアの決勝日としては、僕が経験した中で最も霧が深く、最も気温が低い1日だった。

15 セバスチャン・ベッテル(レッドブル・レーシング) 決勝15位
あまり話すことはないんだ。インターミディエイトタイヤを履いていたんだが、それほど路面が濡れていなかったのでタイヤが終わってしまった。そしたら突然土砂降りになったんだ。ターン7にアプローチしていったら、突然すごく水浸しになっていたので、かなり慎重に行った。でもアクアプレーニングに見舞われてマシンのコントロールを失い、どうすることもできなかった。コース上はびしょ濡れだったけど、僕のタイヤはそういう状況で走るように作られていなかったからね。スピンしただけなら大した問題にはならなかったかもしれないけど、アンチストールが働かなかった。そうでなければ、スピンをしても、多少時間をロスするだけで済んだかもしれない。昔のマシンは、スロットル、ブレーキ、クラッチの3つのペダルがあって、スピンしたときにはどうすればいいか、ドライバーにはやるべきことが分かっていた。でも今はドライバーにはどうにもできない。こんな馬鹿げた理由でリタイアしなければならないなんて残念だ。

16 ニコ・ロズベルグ(ウイリアムズ) 決勝8位
スタート直後にトップに立った。ウイリアムズが純粋にパフォーマンスでトップに立ったのは久しぶりのことだ。エンジニアたちに感謝しなければならないね。マシンはとても好調で、毎周一貫してプッシュし、後方とのギャップを広げていくという、自分の能力を発揮することができた。その後、雨が降ってきて、僕らにとっては状況がいい方向にはいかなかった。でも今日は得るものがあった。マシンはいい状態だったから、次には自分たちの力に見合うだけのポイントを得られることを期待している。

17 中嶋一貴(ウイリアムズ) 決勝12位
スタートでホイールスピンを起こし、周囲のKERS搭載車に抜かれてポジションを大幅に落とした。僕はピケの後ろになってしまい、彼をなかなか抜くことができなかった。彼の後ろでかなり時間をロスしたことで計画が狂った。その後、天気が変わり、コンディションが変わり続ける中で完全に正しい決断を下すことは不可能だった。最終的に赤旗でレースを終了したのは正しい判断だったよ。リスタートしなくて当然だ。

20 エイドリアン・スーティル(フォース・インディア) 決勝17位
雨が降り出してとても難しいコンディションになり、とても走れる状態じゃなかった。僕らは2速か1速で20km/hで走っていたが、それでもスライドしまくった。信じられないような状態だったから、レースを中断するというのはいい決断だった。ウエットコンディションでは僕らはいい結果を手に入れるチャンスが十分あったと思うので、レースが再スタートできなかったのはちょっと残念だったね。結局は、暗くなってしまったので再スタートはできなくなったんだ。上海でもトラブルなくいい週末が送れることを期待している。速さを改善し、ダウンフォースを向上させ、この勢いを次に持ち込もう。

21 ジャンカルロ・フィジケラ(フォース・インディア) 決勝18位
運悪く、かなり早い段階でエクストリームウエットに換えるという、誤った判断をしてしまった。ピットインが早すぎて、3、4周ドライコンディションで走らなければならず、タイヤをダメにしてしまった。その後雨が降ってきて、グリップがどんどんよくなった。でも、水浸しな上にタイヤがほとんどスリックのようになっていたので、マシンをコントロールすることができなかった。アクアプレーニングがひどかったんだ。僕らにとってはいいレースじゃなかった。あいにく僕らは戦略を間違った。でも次のレースを楽しみにしよう。

22 ジェンソン・バトン(ブラウンGP) 決勝1位
とんでもないレースだったね! ものすごくエキサイティングだったよ。今日は優勝することができて嬉しい。スタートはベストとはいえなかった。僕のグリッドの側はグリップが低くて驚いた。ターン1に突っ込むとひどいオーバーステアが出て、4位に落ちてしまった。でも周の終わりにアロンソをパスし、最初のピットストップの時期にトゥルーリとロズベルグの前に出ることができた。マシンは好調だったし、ペースもよかったが、天候によってレースの行方が分からなくなった。タイヤ選択は難しかったけれど、僕らは正しいタイミングで正しい判断をした。特に、雨が突然かなり激しくなってきた時はうまくやれた。今日一緒に表彰台に上った僕のエンジニア、アンドリュー・ショブリン、そしてチームの全員には心からの感謝の言葉を捧げたい。彼らは戦略もピット作業もうまくやってくれた。先週末僕らは、おとぎ話のようなシーズンスタートを迎えることができたと言ったが、ここでも同じことができたことをとても誇りに思う。

23 ルーベンス・バリチェロ(ブラウンGP) 決勝5位
素晴らしいレースだった。レースの最初のスティントでのドライコンディションでマシンが示したパフォーマンスはとても満足できるものだった。いいスタートを決めた後、トップ勢に追いついて多くのポイントを稼げる速さがあると感じた。でも残念ながら、コンディションが悪化し始めると、ピットストップでちょっとロスがあり、いくつかポジションを落とすこととなった。だが重要なのは、マシンがとてもいいということだ。僕らは、異なるタイプのコースでもコンペティティブであることを証明した。シーズンスタートの素晴らしい状態を維持することができ、ジェンソンとチームにはお祝いを言いたい。上海で再びチャレンジするのを楽しみにしている。

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