レッドブルは、カナダGPに新しいターニングベイン(写真:水色の矢印)を持ち込んでいた。これまでのターニングベインは内側に絞り込まれた形状をしていたが、新しいタイプは外側にふくらんだデザインだ。ふたりのドライバーは金曜日に新旧2種類のターニングベインを試し、ともに新しいターニングベインを選択して予選とレースを戦った。結果はダニール・クビアトが9位入賞を果たしたのに対して、ダニエル・リカルドは13位に沈んだ。
リカルド不振の理由を、レッドブルはパワーユニットが主因だと結論づけているが、予選とレースでリカルドがクビアトとは異なるリヤウイングを採用していたことも一因だと考えられる。クビアトはマレーシアGPから投入している逆L字型の翼端板スリットを備えた、ダウンフォースが軽めのものを使用。リカルドはモナコGPで使用した翼端板と同じものにカナダ用のフラップを取りつけた比較的ハイダウンフォース仕様のリヤウイングを使っていた。要するに、どちらも一長一短あって、ひとつに絞り込めなかったわけである。
今年のレッドブルはパワーユニットに大きく足を引っ張られていることは確かだが、空力の開発もライバルチームに対して後れをとっている。カナダGPで登場したターニングベインもメルセデスとよく似た形状をしており、姉妹チームのトロロッソにも似ている。これまでのレッドブルであればコピーされることはあっても、他チームをコピーすることはなかった。
そのレッドブルが、ライバルチームを模倣するようになってしまった。しかし空力のコンセプトが違っていれば、部分的にパーツをコピーしても十分な効果的を得ることはできない。そんなことぐらいエイドリアン・ニューウェイは知っているはずだ。それでも実際そうなっていることに、現在のレッドブルの限界が見え隠れすると言ったら考えすぎだろうか。