世界中で同様の規定で争われている登竜門フォーミュラ、F3。近年ヨーロッパではFIAヨーロピアン選手権をはじめ、イギリスやドイツ等で各国のF3選手権が存在しているが、イギリスを含む地域選手権が、今季"F3"という名称を名乗れない可能性が出てきた。

 F3では、2013年からFIAの主導によりリストリクターを拡大した2リッター直噴4気筒エンジンの新規定が採用された。ヨーロッパでF3用エンジンを供給しているメルセデスベンツ、フォルクスワーゲン、日本で供給しているトヨタ/トムス、無限/ホンダ等のメーカーに加え、多くのマニュファクチャラーに門戸を広げる規定となっていた。

 しかし、ヨーロッパでは急遽2013年に新規定は採用せず、世界でも全日本F3のみが新規定エンジンを採用。トヨタ/トムスTAZ31、ホンダMF204D、戸田TR-F301という3種類のエンジンが実戦投入され、世界的な注目を集めた。ただし、国際F3であるマカオGPでは、日本勢は旧規定エンジンに換装して戦っている。

 そんな中、FIAヨーロピアン選手権では今季からFIAの新規定スペックに変更するが、伝統のイギリスF3やドイツF3カップ等の選手権では、コストの関係で今季も従来型のエンジンと電装パーツを使用することになっている。しかし、イギリスF3を統括するMSAに、昨年のクリスマス前にFIAから「現行のF3規則に従っていないため、シリーズ名に"F3"という名を使用することができない」という驚きの手紙が届いたという。

 MSAではこの問題についてFIAと対話をスタートさせており、ドイツF3カップを統括するDMSBも同様の手紙を受け取ったと推測されている。

 この名称問題について、FIAヨーロピアン選手権とドイツF3でチームを所有するフリッツ・ファン・アメルスフールトは、FIAがすべての選手権に対し新規則を採用するよう強制していると語る。

「FIAはひとつの傘の下にすべてを収めようとしているんだ。とても重要なことだとは思う。ただし、以前のマシンとエンジンをなぜF3と呼べないのか理解することができない」とファン・アメルスフールト。

「FIAは新規則に合わせるために時間がかかることを理解するべきだ。すべての世界を同じ季節にすることなんてできないんだからね。イギリスもドイツも、"F3"という名前を保つことはシリーズにとって最も重要だ」

「誰もがFIAがはっきりとしてくれることを望んでいる。今、ヨーロッパには30ものフォーミュラのクラスがあるんだ。これは多すぎる。常識的に、イギリスF3とドイツF3カップはヨーロピアン選手権へのステップアップとして必要な存在だと認めて欲しい」

 一方、スペインを中心に行われているヨーロピアンF3オープンは、トヨタエンジンのワンメイクとなっているが、すでに新たな名称を使用することを明らかにしており、2月14日に発表されるという。

「重要なのはシリーズ名称ではなく、シリーズを運営する経営陣、テレビ放映のパッケージ、カレンダー、経費だ。我々のアップグレードされたエンジンは、FIAの新規定のF3マシンより1.5秒速く、経費は半分だからね」と2001年からシリーズ運営を務めているGTスポーツのイエス・パレハは語っている。

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