2014年シーズンのGP2シリーズへカンポス・レーシングから今季から参戦している佐藤公哉。“F1登竜門”と呼ばれるこのシリーズで、いったいどんな戦いを過ごし、何を思うのか。今季日本人ドライバーがふたり参戦しがぜん注目が集まるGP2をより深く知るべく、公哉と彼のレース活動を支える井上隆智穂にご登場頂き、“GP2トンデモ放談”をお届けしよう。

 公哉は単身ヨーロッパでキャリアを積み、今季からこのGP2に参戦している。昨年から元F1ドライバーで、Twitter(@takiinoue)でも大人気のユーロノバ・レーシングのオーナー、“タキ井上”こと井上隆智穂が公哉のレース活動を支援している。

 迎えたGP2開幕戦バーレーン。公哉はレース1でジンバブエ出身のアクシル・ジェフリーズ(トライデント)とクラッシュしリタイア。レース2は19位で終えた。F1第3戦バーレーンGPと併催されたレース終了後、公哉とタキ井上が胸襟を開いて語り合った。

●俺たちは酒を飲みに来ているんだから
タキ:しかし、バーレーンはF1やGP2をやってはいけない国だな!
公哉:どうしてですか?
タキ:まず、ハエが多い! 入国した途端にハエがたかってきて、俺はそのまま荷物を抱えてモナコへ帰ろうかと思ったよー!
公哉:でも、僕が昨年AUTO GPで行ったモロッコのマラケシュよりは快適でした。あのときはずっとサーキット内のホテルに缶詰めで、食べ物が悪かったのか帰りの飛行機内で気分を悪くしてぶっ倒れて意識不明に陥りました。
タキ:悲惨だな!
公哉:モロッコに比べると、バーレーンではそれなりの環境でレースができましたよ。
タキ:ハエがたかってくる以外にも、俺はバーレーンには二度と来たくないと思った。
公哉:どうしてですか?
タキ:まず、イスラムの国だから自由に酒が飲めない。でも、一流ホテルだったらそこのレストランで酒が飲めるんだよ。ところが公哉くんのチームが用意した三流ホテルは、日本のビジネスホテルに毛が生えた程度で、レストランに酒が無かっただろう?
公哉:僕もお酒は多少たしなみますが、レースウイークだから控えていて問題はありませんでした。
タキ:だめよー! 俺たちは酒を飲みに来ているんだから。チームに言っておいてよー!
公哉:……(汗)
タキ:バーレーンに泊まるなら、ザ・リッツ・カールトンくらいのホテルじゃないとダメだな! そもそもバーレーンは20年前のドバイのように開発途上だから、レースを楽しめないんだよ。
公哉:井上さん、僕のレースを見に来ているんですか? それともお酒を飲みに……
タキ:両方だな!
公哉:……(汗)

●1万5千メートル手前で減速されたら……
タキ:それはともかく公哉くん、GP2の初陣はどうだったのよ?
公哉:井上さんのドライビングアドバイスを素直に聞いた僕がバカでした。
タキ:……(汗)
公哉:半分冗談ですけど、3月の公式合同テストで作り上げたクルマと同じとは思えませんでした。
タキ:45分間の練習走行では、約20分間もピットレーンで止まっていたじゃない?
公哉:クルマがおかしいとずっとチームに訴えていました。
タキ:総統、いや相当お怒りだったと。
公哉:あの状態で走っても仕方ないですからね。
タキ:でも、数時間後の予選に向けてチームも頑張ってくれたよな!
公哉:もう少し早くから頑張って、クルマを良くして欲しいですけれどね!
タキ:……(汗)
公哉:まあ、練習走行は1分44秒台で予選は1分39秒台。その5秒差を感覚的に埋めきれず、100%プッシュしきれなかった僕の責任も少しはあります。
タキ:予選16番手はたしかに不満だな。チームメイトのアルサー・ピックくらい(編注:予選9番手)は簡単に行けたよな!
公哉:公式合同テストでは、同じ条件なら僕のほうがずっと速かったですしね。
タキ:決勝のレース1は?
公哉:スタートの出遅れがすべてでした。
タキ:あのジンバブエ人は?
公哉:スタートで出遅れて、あの位置にいた僕が悪かったとも言えます。でも、メインストレートで強烈な進路変更のブロックを食らい、第1コーナー手前で通常のブレーキングゾーンの1万5千メートル手前で減速されたら、接触しないほうが不思議ですよ。
タキ:1万5千メートル(汗)。
公哉:実際には150メートル手前ですかね(苦笑)。映像を見てもらえれば分かるとおり、僕が必死に避けたからあの程度の事故で済みました。僕が避けなかったら相手はもっと激しい衝撃を受けたでしょうし、まともに追突していたら僕が空中を舞っていたはずですよ。

●タキ井上、早くも出入り禁止!?
タキ:あの接触で公哉くんは10秒ピットストップペナルティを課されたけど、あの裁定にはこっちも抗議を出しておくべきだったよな。
公哉:チームにお任せするしかありませんが、個人的には相当不満でした。
タキ:そのあたり、公哉くんのマネージメントチームの使いっ走りのひとりとして、俺も頑張らないといかんな!
公哉:いえ、もう結構です。井上さんのおかしなドライビングアドバイスが、そもそもこの開幕大会では僕の不調の始まりだとみんなに伝えました。レース2も不完全燃焼でした。
タキ:出入り禁止かよ! 次のバルセロナに俺が行かなくていいっていうのは、なんだよ、それが原因かよ!
公哉:ということで、次のバルセロナでは安心してレースできます。
タキ:バルセロナまで1ヵ月の空白期間はどうするの?
公哉:今季の活動のメインはGP2シリーズですが、実戦経験を鈍らせないためAUTO GPにも出ます。マネージメントチームのビンチェさん(編注:ユーロノバ社長のビンチェンツォ・ソスピリ)の厚意で、昨年同様に彼のチームから第1大会モロッコのマラケシュと、第2大会フランスのポールリカールに出ます。並行してカンポス・レーシングの所有するGP2のシミュレータにも乗ります。
タキ:あかん(汗)! ユーロノバのオーナーである俺が、そのあたりの話をぜんぜん知らないというのは、非常にまずいよな(汗)。
公哉:でも、その次のGP2シリーズ第3大会のモナコでは、現地在住の井上さんが盛大な船上パーティを開催してくれるとか。ビンチェさんからそう聞いていますから楽しみです!
タキ:なんだよ、そういう話かよ(汗)!

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